「墨攻」
昨日観てきました。今回は家内も付き合ってくれました。最初は「夏物語」の3度目を観る予定だったのですが、「ノベルスを読み終わってから観たい。」との事で延期、後でひとりで行くつもりのようです。
私の方も酒見賢一著の原作本を読み終わっていません。映画の方が先になってしまいました。「日本の漫画が原作」と宣伝されていますので、作者にはちょっと可哀想ですね。結末は原作と同じかまだ判りませんが、始まりは異なっています。映画では戦いの始まる寸前に到着した事になっていますが、原作では数ヶ月前です。墨者が1人来たとてそれだけで戦局に影響を及ぼすはずはありません。墨者の価値は”戦いの準備”にあります。水や食料・兵器(石や藁をも含む)の蓄財から、城の補修、仕掛け、特殊兵器の製造などです。革離はその方面でのスペシャリストです。映画では「籠城戦の経験は無い」となっていますが、原作では鉅子(墨家統率者)の右腕で名人です。なぜ未経験者設定にしたのか不思議です。やはり原作通りにやって欲しかったですね。戦いで兵器・仕掛け自体は姿を現しますので、製造過程を描く必要は無いでしょうが、コマ送りででも忙しく働き準備するシーンは必要だった気がします。それがあって初めて、革離に民衆を率いる人望が集まったのですから。「戦いの始まるまでに何ヶ月もある」という状況が現代での感覚で違和感があったのかも知れませんが、当時の中国では、準備と行軍でそれ位かかる事は普通だったはずです。
それ以外はまずまずの作品ですが、感動もあまりありませんでした。革離と港淹中との楼上でのシーンは不要だった気がします。得てしてああいった倫理論議を挟みたがるものですが、それは言葉での説明では無く、映像で表現して欲しかった。
梁王役の俳優、何処かで見た顔だと思ったのですが、「始皇帝暗殺」に出ていたのですね。個性的悪役です。皇太子・梁適役は韓国のアイドルグループ「スーパージュニア」のメンバーだそうです。演技もその範囲内です。逸悦役のファン・ビンビンも武者姿が愛らしいですが、演技的にはいまひとつに思えました。アンディ・ラウはさすがに雰囲気を持ちます。いずれにしても「始皇帝暗殺」を上回る作品とは思えません。
| 墨攻 著者:酒見 賢一 |
| The Making of 墨攻 販売元:レントラックジャパン |
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/113356/5204986
この記事へのトラックバック一覧です: 「墨攻」:
コメント
酒見賢一の「墨攻」、読み終わりました。結末は映画とは全く異なっています。梁適・牛将軍の役割も正反対です。そしてこの物語自体も全くのフィクション、歴史小説でも無いそうです。革離という人物も想像上の人物、墨家に関する資料は少なく、実際の守城戦の様子は定かには判らないようです。その意味では映画でも漫画でも、想像を膨らませる事のできる要素の大きい素材なのですね。戦国時代には儒家と並ぶ重要な思想集団でありながら、秦の時代までには忽然と姿を消してしまった、謎に満ちた集団だそうです。
投稿 諸葛亮 | 2007年2月 5日 (月) 15時00分