「シークレット・サンシャイン」
六本木シネマート(http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/)で観てきました。韓国原題は「密陽」です。地名の密陽が何故カタカナ題名になったのか不思議でした。でも、地名を直訳しただけに見える英語題名が、そのまま作品の主題だったようです。http://www.cinemart.co.jp/sunshine/
この作品でカンヌ映画祭主演女優賞を得たチョン・ドヨンは、その栄冠に相応しい鬼気迫る演技でした。ごく普通の女性が耐え切れぬ不幸に晒される姿は、見ている側にも重くのしかかります。どのような救いを演出してくれるのか、重苦しい思いで待ちます。しかしイ・チャンドン監督は、観客を安堵させるためだけの都合の良い結末など用意してはくれません。ひと時信仰によって救われたかに見えましたが、それも「救われたい」と願い、「救われた」と自らに信じ込ませる事によっての擬態だったのでしょう。他人を救うことによっての自己満足も、重要な”救い”だったのかも知れません。しかし憎むべき相手が神に”救われた”ことによって、その信仰も破綻をきたします。寧ろ、加害者の娘の負った不幸の方に、いくらかでも救われる、これも監督の表現する絵空事でない”リアル”なのでしょう。
インタビューに答えて監督は、「多くの人々はドラマや映画で描かれる恋愛が愛だと思っています。しかし現実の愛はそんなものではありません。」とか(正確な文面は憶えていません)答えていました。起伏の激しいチョン・ドヨンの演技に対峙させ、控えめに、不器用で普通に俗っぽく垢抜けない男性を演じたソン・ガンホ、その行動や表現は、見ている側を忸怩たる思いにさせるほどに踏み出しません。重要ながら影の薄いその役を、微妙に控えめに演じるソン・ガンホはさすがです。作品の主役はチョン・ドヨンただひとりですが、主題は寧ろソン・ガンホなのかも知れません。”シークレット・サンシャイン”、「秘密の日差し」よりは、「密やかな日差し」の方がやや近いニュアンスに感じます。
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イ・チャンドン監督は、この作品を含め4作品しか撮っていません。しかしどれも粒揃いの、極めてメッセージ性の高い作品ばかりです。決して観客を、娯楽として楽しませようなどとはしません。監督デビュー作「グリーン・フィッシュ」では、ソン・ハッキュの演技が鮮烈です。彼の代表作は、「シュリ」では無くこの「グリーン~」だと私は思っています。次作「ペパーミント・キャンディー」では、”カメレオン俳優”ソル・ギョングを世に出します。光州事件を扱った秀作です。「オアシス」では、前作に続くソル・ギョング、ムン・ソリの共演でタブーの世界に挑みました。主題もキャスティングも、それぞれに興味深い作品ばかりです。
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