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2013年12月28日 (土)

最近読んだ本

このタイトルで前回書いたのが7月でしたので、読んだのが”最近”でもない作品も含まれてしまいます。ま、「今年後半に読んだ本」の方が意味合い的には適切かも知れません。

「大地」 パール・バック著 新居格訳中野好男補訳 新潮文庫   有名な作品ですが今まで読む機会を逸していました。(そういった作品も多いです。一般的に”名作”と言われるもの、できれば目を通しておきたいものです) 極貧の小作人から地主にのし上がる王龍とその家族、二代に渡る物語です。幼少期を中国で過ごし、成人して後再び中国を訪れた作者ですので、さすがに当時の中国と中国人庶民の生活をリアルに描き出しています。地主の奴隷だった女を払下げで妻に迎え、その逞しい働き者の妻と共に、徐々に稼ぎを蓄える王龍、凋落して行く地主の土地を少しずつ買い取って行きます。そして遂には、地域一番の裕福な地主となってしまいます。しかしその子達は、貧しかった幼少期を忘れ、贅に浸り出して行きます。当時の中国の社会情勢と盛衰の輪廻のようなものを、分厚く安定した筆致で描き出しています。さすが、名作、期待に違いません。作者はこの作品でピューリッツァー賞を、そして後にはノーベル文学賞を受賞しています。

「号泣する準備はできていた」 江國香織 新潮文庫   最近の作家の作品はあまり読んでいません。しかしまぁ、たまにはそういった作品にも手を出さないと、時代に乗り遅れてしまうかな?とかの思いで、たまには読んでみます。本屋でぶらぶらしていて、以前読んだ「神様のボート」が意外と好感触だったのを思い出し、買ってみました。12編の短編が収められていました。それぞれつまらなくはないけれど、いまひとつ実感に薄いというか、薄紙一枚向こうの世界、との感覚もあります。作者は私よりひと世代下、遠くはないけれど直にリアルではない、ナンカ中途半端な距離感があります。

「韓国併合」 海野福寿 岩波新書   朝鮮王国の、開国に至る寸前から日本に併合されるまでを、丁寧に、かなり客観的に書いているように思います。一部、日本にとって「酷な見方かな?」と思われる部分もありますが、極端ではありません。当時の状況を理解するには良い本のように思います。現在では文化人として評され、お札になっているような人でも、併合・侵略を当然の施策として考えていた、そんな時代の流れも知る事ができます。一般庶民にとっては尚更、併合される朝鮮国に憐憫を感じる人は極少数だったはずです。それを現代の感覚で善悪判断する事はまた別ですが、少なくとも、あの大戦に導いてしまった要因ではあるはずです。

「風立ちぬ」 堀辰雄 角川文庫   宮崎駿監督の映画のせいで注目されていますね。私は元々、中学時代に堀辰雄作品に触れ、そこそこ夢中になった経験があります。この機会に読み返してみました。文学作品はそれに接する時期で感じ方が随分と異なってしまう場合も多いように思います。元々、女子中高生に人気のあった作家ですし、ロマンチックで切ない物語ですので、やはり思春期に読むのが一番胸に沁みる作品なのだと思います。さすがに、中学時代ほどにのめり込む事はありません。それでも、今読んでも中々に清新で寂しくも温かい作品ではあると思います。作者の体験した実話が基となっている重みもありますし。懐かしさに惹かれて、”堀辰雄最高傑作”と呼ばれ私自身もそう思っている「菜穂子」も読み返そうと思ったのですが、宮崎アニメブームで復活したのは同名の「風立ちぬ」だけだったようで、同じ書店に「菜穂子」は見当たりませんでした。後に他の書店で見つけ買ったのですが、そちらはまだ読み返していません。

映画の「風立ちぬ」も観てきました。今までの宮崎駿作品とは一線を隔する作品でした。何故これを最後の作品として選んだのか、いまひとつ判りません。悪い作品では無いと思いますが、宮崎作品の上位に据える作品でも無いように思っています。世間では、ゼロ戦の開発者:堀越二郎の半生を描いたように誤解している人も多いようですが、ゼロ戦開発以外のストーリーは堀辰雄の「風立ちぬ」の方で、両者を合わせて作り上げたオリジナル設定です。嘗て堀辰雄作品に触れた人達には歴然と判るはずですが、それだけ、時代に埋もれてしまっていた、との事なのでしょう。ゼロ戦でも宮崎駿でもなく、堀辰雄「風立ちぬ」感慨で注目した私としては残念です。戦争を描いた作品としても、マイナー作品の「飛べダコタ」の方が、数段上に感じます。

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