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2015年3月 1日 (日)

「百円の恋」

安藤サクラ主演映画「百円の恋(http://100yen-koi.jp/)」観てきました。すっかり打ちのめされました!「俳優ってスゴイ!」と圧倒されてしまいました。主人公の容姿・体格・姿勢・動き、ストーリーの始めと終わりとでは全くの別人・別人格です。役のための激太りから一転10日間での過酷ダイエットを実行したそうです。顔も変わってしまっています。ジムに通ってボクサーとなる役ですが、当初の不器用な動きは演技でしょうが、その後のパンチ・フットワークは演技力だけでは不可能です。とても人間業とは思えません。メインのストーリーは単純明快ですが、笑いもあり苦味もあり、クライマックスでは目の離せない緊迫感と感情の高ぶりで目頭を熱くさせられました。

安藤サクラ出演作を観たのは、「かぞくのくに」に次いで2作目です。「きいろいゾウ」に声だけで出演していたことは後から知りました。その「かぞくのくに」でブルーリボン賞主演女優賞を獲得、今回の「百円の恋」「0.5ミリ」で2度目のブルーリボン賞主演女優賞を受賞しています。またこれまでに報知映画賞やキネマ旬報ベスト・テン等で多数の受賞歴があります。今年も高崎映画祭主演女優賞受賞、日本アカデミー賞でも最優秀は逃したものの優秀主演女優賞を得ています。商業的傾向の強い日本アカデミー賞ですので、マイナー系の作品での受賞はさすがに「無視できなかった」ということかも知れません。奥田瑛二の娘で旦那は柄本明の息子という俳優一家の一員ですが、七光りなど露ほども感じない生粋の実力派俳優です。

さてその日本アカデミー賞、「永遠の0」が最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を獲得しました。元々日本アカデミー賞にノミネートされる作品というのは、有名俳優が出演して宣伝に資金を投入する話題作が多いのですが、私が天邪鬼なのか、観ていない作品がほとんどで判断がつきません。作品賞ノミネート作品でも、観たのは「永遠の0」1作だけです。ですので他候補昨との比較はできないのですが、これが昨年での第1位作とはどうしても思えません。もちろん秀作の部類には入ると思いますが、心揺さぶられるものではありませんでした。描かれた時代・テーマの重さだけに頼ってしまった感があります。外国作品ではありますが、同じように戦場を描いた「FURY」と比べると綺麗事に見えてしまっています。

岡田君の演技も、頑張りは判るのですが、安藤サクラ演技に比べるとどうしても”演じてる”風が拭えません。唯一リアル感を感じられたのは、最後の特攻場面での”笑い”を含んだ表情でした。主人公は熟練したパイロットです。職人的技術者は、それが使えない・使ってはいけない技能ではあっても、その技を試したい欲望は秘めているものと思います。戦争末期での特攻はほとんどが敵艦に辿り着いていなかったと聞いています。防空能力の強化もありますが、日本側パイロットの技量不足もあったようです。超低空で接近し反転して上空から突っ込む(防御の堅い舷側では効果は期待できません)技術は至難です。その至難の業に挑んだ技術者の”笑い”だったのだと感じています。ちなみに私の父親は海軍航空隊のパイロットとして終戦を迎えました。劇中に登場する急降下爆撃訓練での事故死も実際に目にしていますし、特攻志願書も配られました。終戦があと半年遅れていれば、私は生まれていなかったものと思います。戦争の美化ではないにしても、平和時での作り物的な感覚はどうしても残ってしまいました。

今回「百円の恋」を観たのは、残された数少ない名画座的な映画館でです。流行のシネコンでは、大手制作のメジャー作品ばかりが上映されています。製作費・宣伝費には大金を投じるものの、内容で裏切られることも少なくありません。「百円の恋」のような名作といって恥じない作品でも、実際に目にする人は全体では少数でしかありません。作品の質よりも宣伝費が幅を利かす昨今、悲しい現実だと思っています。来月での高崎映画祭では、同じ安藤サクラ主演(実姉の安藤桃子監督)の「0.5ミリ」も上映されます。2014年キネマ旬報ベスト・テンでは、「0.5ミリ」が2位「百円の恋」が8位にランクされています。ちなみに「永遠の0」はランク外でした。評価は様々です。

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