« 「足利美術協会小品展」 | トップページ | 友人の退職記念展 »

2021年12月 7日 (火)

最近読んだ本『クロワッサン~』『漁港の~』『三国志~』

『クロワッサンとベレー帽』鹿島 茂 中公文庫Image_20211126_0001

 

フランス文学者・鹿島茂の本、フランス語の言葉の本来の意味・使われ方と日本でとのずれを書いた『ア・プロポ』と、パリ・フランスに想いを馳せたコラムから成ります。副題は『ふらんすモノ語り』、ちょっとした空き時間に1章ずつ読めます。ストーリーに嵌り込んで乗り過ごす危険が少ないので、電車内読書に良いかも。そんなぶつ切りの読み方をしたので、薄い本なのに9か月ほど持ち歩くことになりました。作者の”パリ愛”を感じる1冊。

 鹿島茂は元明治大学教授、2020年で退任したらしい。以前読んだ本(『クロワッサン~』と一緒に買った)が、19世紀パリの娼婦・娼館に関する本でした。華やかでロマンティックなパリに憧れるだけでなく、風俗・日常生活に根を持つ文化を紹介する本を書きます。大学での授業も、きっと面白いものだったのでしょうね。岸リューリのイラストもエスプリっぽい。

  

『漁港の肉子ちゃん』西加奈子 幻冬舎文庫20211127_163850

 

いつの間にか西加奈子も7冊目になりました。椎名林檎推薦とのことで読み始めた作家です。これまででは、共感できる・できないが半々です。「あおい」「さくら」「きいろいゾウ」は、悪くはないけれどイマイチ入り込めなかった。「こうふく あかの」「こうふく みどりの」は良かった、1番はやはり「サラバ!」かな? 

 今回の『漁港の~』は既読本とは別タイプでした。読んだ方の評判が良く、アニメ映画化もされています。へそ曲がりの私には、共に避けてしまいがちな傾向です。それでも今回は購入してみました。概略想像したような傾向の本でしたが、想像したほど悪くはない、しかしそれを超えての感動とか感慨はありません。

 どうも、「ほっこりしたイイ話を書こう」との下心が見える気がするのと、「都合良い解釈」とも感じてしまう自分が居ます。ゴッホの作品は好きですが実際に彼が身近に居たら面倒な存在、肉子ちゃんも、文章で読むには楽しいキャラクターですが、実際に居たら”ウザい”と感じてしまいそう。良い面は判っても、目の前に居る時間はストレスも感じるでしょう。創作と考えて突き放して考えれば良いのだけれど、そうばかりも考えられない面倒な自分です。そう言えば、これまで読んだ西加奈子作品はすべて小学館文庫でした。出版社傾向はやはりあります。

 

 『三国志名臣列伝 後漢篇』宮城谷昌光 文春文庫20211204_231609

 

久し振りの歴史もの、もっと久し振りの宮城谷昌光。「三国志」のわき役たちの物語りです。盧植はこれまで劉備の先生として僅かに顔を覗かせる程度だったし、朱儁はもっと印象が薄い。皇甫嵩も漢末期の名将として名が登場するが箇条書き的な履歴のみ、王允は董卓との絡みで短期間日の当たる場所に。孔融と荀彧は曹操周囲でそこそこ登場、何進は一時期表舞台で主役を張るが「肉屋の、」として良く書かれることが少ない。そんな7人にスポットを当てた短編集。確かに三国志には、個性溢れる脇役が多数登場する。

この中で、私の読んだ従来の作と大差無さそうな描かれ方をしたのが孔融、1番違ったのが何進、だった。外戚として分不相応な出世を遂げた肉屋のオヤジ、的な描かれ方が脳裏に残っている。宮城谷を信頼するなら見る目は大きく変わる。

宮城谷で読んでみたい本もあるのだけれど、順番待ちが多数ある。暫くは無理そう。

« 「足利美術協会小品展」 | トップページ | 友人の退職記念展 »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 「足利美術協会小品展」 | トップページ | 友人の退職記念展 »

無料ブログはココログ
2024年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31