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2024年3月10日 (日)

最近読んだ本『青い小~』『孔丘』

『青い小さな葡萄』遠藤周作 講談社文庫 1980年第8刷(1973年第1刷、1956年新潮社)20240220_125335

 

 『白い人』『黄色い人』の前年に発表された初の長編小説とのこと。1950年戦後初の留学生として渡仏、その時の経験をもとに書かれたらしい。現地でのアジア人への偏見と差別、敗戦国ドイツ人に対する嫌悪、そして戦中のレジスタンス活動裏側での暗黒面、何処までが実際の話しなのかは判りません。

 本棚から取り出した44年前の本、結婚前の家内が買った本です。最近は読書量の減っている家内ですが、若い頃は読書家でした。1980年は結婚の年、式は12月でしたので結婚間近の時期に読んだのでしょう。結婚前は2年ほど、東京と宮城とで離れて暮らしていました。まだ東北新幹線の無かった時代です。本の内容よりも、当時どのような気持ちでこの本を読んでいたのか?歳月を遡る気持ちになります。

 読書傾向、重なる部分もあるのですが、やはり選択する作家・作品には違いも結構あります。遠藤周作は家内の買ったものの方が多い。吉行淳之介・水上勉は2人共に読んでいるのですがやはり家内本の方がやや多いかも知れません。源氏鶏太・林真理子・田辺聖子はすべて家内の買ったもの。反対に司馬遼太郎など歴史ものはすべて私の方です。時には本棚から、私未読の家内本を読んでみるのも良いかも。家内再発見もあるかも知れません。

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『孔丘』宮城谷昌光 文春文庫上下巻 2023年(2020年文藝春秋社)20240228_213346

  

孔子24歳、物語は母の死から始まっています。「孔丘」は孔子の本名、偉人伝では無く、放浪し苦悩したひとりの人間として描こうとの作者の意図するところが見えます。「激し易い」、時には高弟からも不安視される、そしてあまりに理想を求め過ぎる孔丘。それでいて泰然自若とした悟り切った哲人の姿ではなく、晩年には「天」にすべてを委ねた意思無き姿をも現します。

「礼」とは元々は葬儀・葬送の手順・仕来りを意味するものだったとか。「儒者」は謂わば「葬儀屋」でした。ただ、古来の型通りに葬儀を執り行うことは貴人には欠かせない重要事で、決して卑しい身分ではありません。特殊技能者、といったところでしょうか。その「礼」を、葬礼を超えて政治・外交に、そして人が生きて行く意味合いを示す「哲学」へと昇華して行きます。後世人の世に描かれる「礼」のイメージ・規範は孔丘の創り出したものでした。

孔丘の人生を描くことは想像以上に難しかったようです。著者は50代・60代で「無理だ」と諦め、70過ぎて「死ぬまで書けない」と腹を括って書き始めたそうです。『論語』には時系列が無く、残した言葉が「何時何処で発せられたか」を確定すること自体が難しいとか。著者の苦労の垣間見える作品です。

宮城谷昌光は以前(15~20年位昔?)かなり嵌った時期があります。時代もの自体読む機会が減っています。久々に読むとやはり面白いですね。少し置いてになるでしょうが、また何か読んでみたいと思っています。

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