2024年3月26日 (火)

最近読んだ本『紫色の~』『お菓子で~』『美麗島~』

『紫色の場所』林 真理子 角川文庫 1986年20240315_171440

 

 バブル初期、当時「アイドル作家」とも言われて持て囃された時代の林真理子の作品です。今や日大理事長ですね。立場危うそうだけれド…。

主人公はスタイリスト、当時流行先端の職種に就く彼女が新宗教に興味を持つという、「時代だなぁ」という作品。今読むと古臭さを感じてしまいます。しかも宗教に嵌り掛けた原因が「教会で知り合った信者の男」という軽さ、林真理子らしい。オーム真理教での事件前の作品なのでこんな扱いもできたのでしょう。「久慈尊光教」というモデル丸判りの宗教団体名「おひかり」との言葉も出てくるし。クレーム付かなかったのだろうか?

 本棚から取り出した本です。若かりし頃の家内が買ったらしい。子育てに忙しかった時期にこんな本を読んでいたのかと思うとちょっと笑ってしまう。書棚には林真理子の本が数冊あります。すべて家内本、私は多分初・林真理子。 

 

『お菓子でたどるフランス史』池上俊一 岩波ジュニア新書 2013年(2021年第12刷)20240317_164037

 

 著者は西洋中世・ルネサンス史を専門とする東京大学大学院教授、『パスタでたどるイタリア史』に続く著作です。宗教や政治、素材、時代を経てのお菓子の歴史を辿ります。命を繋ぐ「食」という意味からは、必ずしも必要とは限らない「余分なもの」としてお菓子。祭事や神事から嗜好食品へとの変遷して行くには、大航海時代での砂糖やカカオの導入、そして植民地プランテーションでの大量生産化が必要でした。香辛料並みの高価品だった砂糖は、悲惨な奴隷制の犠牲の下に一般化されたのです。その中でフランスは、政略結婚によるスペイン・イタリアからの文化移入としてグルメ大国を創り上げて行きました。テーマ毎の編集で時系列を遡る部分もありやや混乱する場面もありましたが、興味深く読むことができました。

 商才無く10年前に店を閉めましたが、製菓学校卒の元パティシエです。新婚旅行ではフランスを2週間巡りました。最終章に登場する、ヌーヴェル・パティスリーを牽引した「ルノートル」、出店した西武デパートには通いましたし、ガストン・ルノートル氏来日での講習会にも参加しました。食を離れてから自宅で作ることは無く、すっかり忘れてしまいました。

 書棚にはまだ専門書も何冊か残されています。開くことは全くありませんでした。1982年、5万円の本です。当時の大卒初任給が12~13万円の時代でした。

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『美麗島プリズム気候』乃南アサ 新潮文庫 2022年(2020年集英社)20240326_101817

 

 小説を主として読んでいるのですが、時としてほんわかと、旅紀行とかエッセイとかも読みたくなります。そんな時のために買って置いた本です。台湾は行ったことないけど惹かれる部分もある国です。

 そんな気持ち・期待からは少し離れた内容でした。初めて読む作家です。お気楽な旅紀行文ではなく、台湾の歴史に食い込んだかなり真面目な考察を提供しています。「日本兵として戦った本省人と、日本兵を敵として戦った外省人」の同居する国、歴史的には確かにそうなのですが、意識したことがありませんでした。親日国として知られる台湾の、新たな一面も垣間見ることができました。期待とは異なりほっこりとはなりませんでしたが、読み応えのある作品ではあります。

2021年10月 9日 (土)

初めての、落選

「栃木県芸術祭美術展」、”落選”の絵を引き取りに宇都宮へ行って来ました。昨年は初出品初入選でしたが、今回は敢え無く落選でした。
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部門別応募点数及び入賞・入選点数 ( )内は昨年度実績

(1)洋画部門
 応募点数 175点 (200点)うち25歳以下  23点
 入賞点数  9点 ( 10点)   〃     1点
 入選点数 115点 ( 113点)   〃    11点

今年は↑こんな状況だったとか。応募点数は減ったけど入選点数は増えています。レベルが高かったということだろうか?見た感じ確かに、平均レベルは昨年より気持ち上がっているような気もした。しかしそれでも、戻ってきた自作を眺めて、落選60点の内に入っているのは納得し難い。「自己の表現力不足」とか謙虚に考えるようにしていたけれど、改めて疑問を感じてしまう。
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出品作は実は、1976年の銀座での四人展に出したもの、それに加筆して出品しました。”手抜き”というわけでは無い。30数年のブランクの後再開して4年余、その間の作品は、何となく浮かんだ映像イメージで描いていました。裸婦クロッキー会でのスケッチと風景や静物を組み合わせてとか。描いている内にちょっと思ったのです。「20代の昔は、もっと何か、表現したいもの、訴えたいことがあったよなぁ~」と。それで昔の作品を引っ張り出してきて眺め、その内の数点に新に筆を加えてみました。その中で、1番昔に考えていたことが鮮明に蘇るのが、《Lady Murasaki》だったのです。

作品映像を見て、私の描いたテーマ、何か思い浮かびますか?やはり難しいとは思いますが・・・。また、落選の要因に関してはどうでしょう?第75回展での、大賞・準大賞作品も載せておきます。
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出品作《Lady Murasaki》はダブルテーマとなっています。ひとつは『源氏物語』です。当時谷崎訳で読んでいて、何作かシリーズで描きました。「Lady Murasaki」は、源氏の正室・葵の上亡き後、実質上正室の座に座った紫の上の英語訳名です。源氏が幼少に見出して「自身の好みに育てた」若紫イメージが強いかと思いますが、葵の上、夕顔と異なり早世していませんので、子を成さず源氏の移り気との中での、葛藤の後半生を送っています。その”大年増”紫の上をイメージしました。

もうひとつ、こっちが本命なのですが、紫色には中性的イメージを感じています。銀巴里で歌った美輪明宏は、髪を紫に染め、紫の衣装・靴で銀座を闊歩したとか。『紫の履歴書』という本も書いています。

10代の頃から、女性ファッションに興味を持って、An An やELLE を愛読していました。大学生時代には、女物の服を着たり、7cm位のピンヒールショートブーツを履いたりしていました。自身に性同一障害的な傾向があるのか疑ったことも。しかしずっと、恋愛対象は女性でした。今と違って、その手の性向を表すのに「オカマ・ホモ」という言葉しかなかった時代です。

ピーター、池畑慎之介はひとつ年上、高校生時代にファッション誌で見て憧れました。要は私、ファッション許容範囲の狭い、男性と言うものに不自由感を抱いていたのです。2019年の恵比寿での四人展には、毎日、オーバーニーブーツで通いました。Img_20211005_131543

で、種明かし、《Lady Murasaki》は”男性”です。これまで、誰にも言ってませんし、誰に指摘されたことがありません。故に表現力不足なのでしょうが、あからさまに簡単に、説明的な描き方はしたくなかった。それも意地です。もし今回の審査員の方々が落選理由として、「女性の皮膚の表現ができていない。ごつごつして男みたいだ」と思ってくれたのなら、意図の半分は通じたと思うのですが、果たして・・・・?

2021年2月14日 (日)

桐生短大卒業制作展

桐生大学短期大学部アートデザイン学科の卒業制作展に行って来ました。昨年、大川美術館からの帰りにブラっと立ち寄った桐生市内画廊でのグループ展、ちょっと気になった作品があり1点購入しました。その娘が出品しています。卒業後は研究生として1年残るそうです。いいなぁ、未来が広くて。

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北関東の田舎の小さな短大ですので、「五美大展」などに比べると規模も作品レベルも格段に落ちます。ま、比較自体が無理。この小さな世界の中では抜き出た才能ですが、あくまで小さな水溜りの中での話し、飛び出してからが勝負です。未来は広いけど果てしないし厳しい。成長は楽しみだけれど、苦労を思うと痛々しい気もしてしまう。購入した作品は、現在2階トイレ壁に展示中。トイレって一番落ち着いて作品観ることのできる場所。Dsc05149_20210214000201

 

「アートデザイン学科」なのでイラストやアニメ系の作品が多い。これも時代。しかし今風の流行りの作品の物真似ばかり。手塚から石ノ森や藤子が生まれたのは、やはり格別の才能あってのことなのだろう、な。アニメ系の作品はあまり写真撮ってません。

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初めて気が付いたのですが、「桐生大学」というのは昔の「桐丘(桐ヶ丘)」のことだったのですね。高校も今は「桐生第一」と名が変わっています。改めて思い返すと、近隣の私立高校は、ほとんどが私の高校時代とは名前が変わっています。Img_20210213_152712

 

2021年2月11日 (木)

最近読んだ本「パリ、娼婦の~」

フランスへの興味で本を買うことがあります。絵画関連(伊集院静とか原田マハとか)が多いのですが、また別の好奇心で鹿島茂の本を3冊まとめて買っていました。その内の2冊。

 

「パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ」鹿島 茂 角川ソフィア文庫81euvwvobl

 

 「メゾン・クローズ」とは19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行り廃れた、フランスの娼館のことです。性病の蔓延を危惧した政府による規制主義での管理売春制度により成立しました。禁止取り締まりでは売春は無くならない、なら管理下に置いて規制し閉じ込めよう(=クローズ)との考え方です。著者:鹿島茂は東大仏文科卒のフランス文学者ですが、よくぞここまで調べたと感心します。男性としての関心、フランス文学者としての興味、なのでしょうか?そして「メゾン・クローズ」の時代は印象派・エコールドパリの時代とも重なります。絵画・文学の隆盛は、昼間の健全な太陽光の下だけでは成り立ちません。ロートレックやゾラに代表されるように、夜の闇は人間の物語に深い陰影を与えます。この時代のフランス(特にパリ)の風俗を語る貴重な考察だと思いました。

 

 

「パリ、娼婦の街 シャン=ゼリゼ」鹿島 茂 角川ソフィア文庫817ew4lzfxl

 

 先の物の姉妹巻、元々は単行本で出された「パリ、娼婦の館」と「パリが愛した娼婦」とを、内容に沿って再構成・文庫化したものだそうです。公娼「メゾン・クローズ」に対して「私娼」に焦点を当てた内容。街の発展、繁華街の盛衰に沿って娼婦たちも客を求めて行動範囲を移して行きます。昨今の景色からは想像できませんが、シャン=ゼリゼにもそんな時代があったそうな。

 近代絵画の出現にフランス革命や産業革命が大きな影響を与えたと同様に、パリでの急激な娼婦増殖には社会変化の影響が大きかったとのこと。中世では“衣服”は基本オーダーメイド、王侯貴族はお抱え職人によるオートクチュールですし、一般庶民は母親や親族女性、近所の裁縫上手な小母さんによる手作りでした。それが産業革命でのマニファクチュアによる大量生産で既製服が出現します。その販路としてブティックやデパートができ、一般人の目に付く場所に華やかなファッションが展開されるようになります。しかし当初の購買層は産業革命で勃興した新中産階級、プチブルジョアです。一般階級女性には高嶺の花、目は刺激されども、女工仕事で得られる収入では到底及びません。まだまだ女性が就ける職種は限られた時代です。そんな女性たちが夢を叶えることのできる収入の道が“娼婦”だったのです。急激な時代変遷は残酷です。

最終章が興味深かった。「メゾン・クローズに幕を引いた娼婦」、フランスでの公娼廃止法案は1946年4月9日に可決、13日に施行されました。この公的売春廃止法案は発案者の名に因んで「マルト・リシャール法」と飛ばれたそうです。このマルト・リシャールとの女性がユニークです。貧しい家に生まれお針子からメゾン・クローズの公娼となり、客の裕福な商人と結婚、死別後はドイツ人将校の愛人となりスパイ活動。その後結婚したものの間もなく死別、「大金持ちの未亡人」となります。第二次大戦中のナチス占領下ではゲシュタボ大物に接近(“愛人”との噂も)、戦後はレジスタンス活動を売りものにパリ市議会議員に当選、メゾン・クローズ廃止案を提出、というドラマにもなりそうな波乱万丈な一生です。著者曰く「フランスでは、公娼廃止論者でさえ、エロチックな存在であることを自慢しているのである」チャン・チャ~ン。

2021年2月 1日 (月)

「ヘルムート・ニュートンと12人の女たち」


「ヘルムート・ニュートンと12人の女たち」宇都宮まで映画を観に行ってきました。時代を騒がせた写真家を語る映画。ファッション誌の枠を超えた過激な表現で物議を交わしたカメラマン。エロ、S&M、フェッティッシュ、「女性蔑視」と叩かれても自己表現を貫き、交通事故である日突然に世を去った時代の稀才でした。映画としては退屈です。ヘルムート・ニュートンに興味のある方にしかお薦めできません。好きだった私でも最後の方は飽きました。それでも観たことに後悔はありません。今見ても鮮烈な写真表現でした。
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高校から大学時代にかけて、女性ファッションに興味を持っていました。結構フェティッシュに。アンアンは3号から買いました。他にはELLEとか流行通信とか。田舎高校生時代は学生服の下に赤シャツ着る位しかできませんでしたが、進学先が渋谷の某トレンディ大学でした。その頃は竹下通りはまだ静か、ぽつぽつとブティックができ始めた頃、「ブラック&ホワイト」とか。原宿表通りでは「ミルク」が話題でした。通常通学路は渋谷駅からですが、散歩がてら原宿まで歩くことも多くありました。東京で初めて買ったブランド物はカルダンのジャケットでした。懐かしい~。

抑えた渋い上品な装いは怠く感じ、同世代のピーターに憧れました。世評的におしゃれが制限される”男”というものに抑圧を感じ、化粧もできないピンヒールも履けないことを不自由に思う。女装、というか、女性と同じようにおしゃれをしたかった。女性になりたかったわけじゃないので、ジェンダー的にはノーマル。でも世の中的には異端。
ヘルムート・ニュートンの写真集、持っているのは石田えりのものだけです。大柄で筋肉質のモデルを好んだニュートン、「なんで石田えり?」と思ったものです。日本的な色気はあったとは思いますが。
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ファッション誌のほとんどは処理しましたが、作品制作でのテーマには、未だに名残りが残ります。↓以下は自作品、当時の想いが下敷きになっている、と思っています。
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2020年12月26日 (土)

初滑り norn水上

マスX’イブの24日、今シーズン初滑りに行って来ました。群馬の「norn水上スキー場」、自宅玄関からスキー場駐車場まで1時間10分で着きました。高速も空いてたし、ICからの道も除雪完璧でした。スキーしない人は先日の豪雪大渋滞記憶が鮮明らしく、妹は心配してましたが、あんな状況が2日以上続くことないと、スキーヤーは知ってます。残るのは豊富な雪だけ!

「びっくり価格WEEK」で27日まで、1日券シニア2,300円、板単品レンタル2,300円でした。「5時間券でイイ」と思っていたのですが5時間券設定は無し、必要もないし。例年はこういった早期価格時期では「雪少ない、人工雪搔き集めてコース1本だけなんとかした」という状況が多いのですが、この日はリフト2本ながらほとんどのコースが滑降可でした。滑れないコースは、客が少ないのと雪が多過ぎて整備が追い付かない、とか。28日からは1日券4,500円(シニア4,000円)になります。靴とポールだけ持って行って板レンタル、ロシでした。靴はラングポールはケルマ。

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お天気は快晴!雪は少し固めながら絶好のコンディションです。丸沼高原サマースキーで右回り不安がありましたが、多少ふらつく(重心移動が僅かに遅れる)ものの支障ない程度。難く決心した(はず)のスクールにも通わず楽しんで滑りました。(笑) 大学選択授業でのスキー合宿(山形蔵王)以来ちゃんと教習を受けたことがありません。1度位はやっといた方が良いのですが。

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昼過ぎからは多少雲も出てきましたが問題なし。気温が少し上がって雪が柔らかくなり更に滑り易くなりました。ただ筋肉疲労は増し増し。老齢以上に胃摘出での栄養吸収率低下で筋肉が付き辛い。毎日8,000~10,000歩位歩いてスクワット100本位やっているのに、現状維持もされていない気がする。時には激しい(しかも楽しい)運動もしないとその内歩けなくなりそう。それで翌日は激しく筋肉痛。湿布必須。

スキーファッションは40年来基本は変わりません。今日のは30年位前に買ったものかな?当時そこそこ良いもの買っているので物持ちが良い。ダボダボのボーダーファッションが嫌いなので買いたいものもないし、未だにスレンダーパンツ。体系も変わらないので。安全のため一昨年買ったメットだけが新しい。スキーに夢中だった時でも、技術系はほとんど買わない、スキー場案内もたまに、メインはファッション雑誌でした。ウエアも主に女もの、男性用はろくなの無かったし。スキー雑誌、ほとんどは処分しました。

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元はパティシエでした。プレゼント渡す小さな子も居ないしツリーも飾らずケーキも買わなくなった昨今、スキーに来てイブだったことに気付きました。昔作ったケーキの写真が出てきたのでこちらも載せてみましょう。ほとんど徹夜での作業でしたので、X’マスに良い思い出は少ない。

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