2024年4月17日 (水)

最近読んだ本『ピカソに~』『私の家』『原田マハの~』『旅だから~』

『ピカソになれない私たち』一色さゆり 幻冬舎文庫 2022年(2020年幻冬舎)20240326_201010

 

 東京藝術大学出身の作者が、架空の芸術大学「東京美術大学」での、油画科で1番厳しいという森本ゼミで卒業製作に励む4人のゼミ生の1年間を描きます。50年以上の昔、美大進学を父親に反対され一般大学に進学しました。作品文中に「20倍もの競争率になる」と書かれている合格率、モデルとなった東京藝大油画科、私の時代では50倍に近かった。圧倒的に多い女子比率といい、時代は変わっています。 

そして古希を迎えた現在、通信美大在籍3年目を迎えています。最初の2年間は芸術学専攻でしたので、油画では1年を終了したところです。卒業製作は来年に予定しています。その意味では身に滲む部分も多い。砂利道の小石を1粒1粒描く精密描写課題などやりたくない。似たようなことはやらされるんですけど…。終盤は他人事とは思えず感極まって涙ぐみそうにもなりました。他人事として読む方々はどう感じるのだろう?  

 

『私の家』青山七恵 集英社文庫 2022年 Image_20240409_0008

 

 2007年に芥川龍之介賞を受賞した作家だそうですが、初めて読みました。どうやって選んだのか記憶にありません。「たまたま手に取った」のでしょう。そういった出会いもあります。 

親子・兄弟・大叔母、三代に渡る親族の「家」にまつわる物語です。それぞれの関係・悩み・行動、親族ならではの近しい関係でのぶつかり・イザコザ、日常的にありそうな些細での苛つき、軋轢。読んでいて少しイラつかされる部分はあります。あと、それと「家」との結び付きが、私にはピンと来ませんでした。章により主人公が入れ替わる、時代も行きつ戻りつするので戸惑う部分もありました。判るようで判らない、煮え切らない思いの残った作品でした。何かの折に、思い当たることもあるのかも知れません。そういった読書も過去にはありました。  

 

芸術新潮4月号『原田マハのポスト印象派物語』原田マハ 2024年4月新潮社Image_20240409_0007  

 

 高いので美術雑誌は大抵立ち読みですが、今号は原田マハがメイン記事を書いていたので買ってしまいました。税込み1,500円。 

「ポスト印象派物語」として、5人の画家を取り上げています。時空を超えて、エミール・ベルナールと共にそれぞれの画家を訪ねるとの設定です。今でも最も好きなマハ作品は『ジヴェルニーの食卓』です。『原田マハの印象派物語』も悪くない。そこまでは行きませんがそこそこ楽しめる文章でした。エッセイ以上小説未満。オーヴェールもポン=タヴェンも行きたいなぁ、もちろんパリも。

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『旅だから出逢えた言葉Ⅱ』伊集院静 小学館文庫(2021年・2017年小学館)Image_20240415_0002


『~Ⅰ』に続いての購読です。面白い、興味深い言葉も、何故敢えて?との言葉も混在しますが、その時々、その旅の中で心に滲みた言葉を挙げていますので、部外者読者には想像の届かない部分もあるのだと思います。『~Ⅰ』よりもしんみり読むことができました。

松井秀喜、国民栄誉賞受賞時での記事、「おそらく今後あらわれるかどうかわからないワールドシリーズMVPという栄誉~」との言葉があります。当時は想像もできなかったであろう大谷君の活躍、昨年11月に73歳で亡くなられた作者、松井に続く快挙を想像していたかも知れません。『~Ⅲ』も出ていますが買うかどうかは判りません。もうイイかな? 寧ろ『美の旅人 スペイン編』に心が動きます。

2024年3月26日 (火)

最近読んだ本『紫色の~』『お菓子で~』『美麗島~』

『紫色の場所』林 真理子 角川文庫 1986年20240315_171440

 

 バブル初期、当時「アイドル作家」とも言われて持て囃された時代の林真理子の作品です。今や日大理事長ですね。立場危うそうだけれド…。

主人公はスタイリスト、当時流行先端の職種に就く彼女が新宗教に興味を持つという、「時代だなぁ」という作品。今読むと古臭さを感じてしまいます。しかも宗教に嵌り掛けた原因が「教会で知り合った信者の男」という軽さ、林真理子らしい。オーム真理教での事件前の作品なのでこんな扱いもできたのでしょう。「久慈尊光教」というモデル丸判りの宗教団体名「おひかり」との言葉も出てくるし。クレーム付かなかったのだろうか?

 本棚から取り出した本です。若かりし頃の家内が買ったらしい。子育てに忙しかった時期にこんな本を読んでいたのかと思うとちょっと笑ってしまう。書棚には林真理子の本が数冊あります。すべて家内本、私は多分初・林真理子。 

 

『お菓子でたどるフランス史』池上俊一 岩波ジュニア新書 2013年(2021年第12刷)20240317_164037

 

 著者は西洋中世・ルネサンス史を専門とする東京大学大学院教授、『パスタでたどるイタリア史』に続く著作です。宗教や政治、素材、時代を経てのお菓子の歴史を辿ります。命を繋ぐ「食」という意味からは、必ずしも必要とは限らない「余分なもの」としてお菓子。祭事や神事から嗜好食品へとの変遷して行くには、大航海時代での砂糖やカカオの導入、そして植民地プランテーションでの大量生産化が必要でした。香辛料並みの高価品だった砂糖は、悲惨な奴隷制の犠牲の下に一般化されたのです。その中でフランスは、政略結婚によるスペイン・イタリアからの文化移入としてグルメ大国を創り上げて行きました。テーマ毎の編集で時系列を遡る部分もありやや混乱する場面もありましたが、興味深く読むことができました。

 商才無く10年前に店を閉めましたが、製菓学校卒の元パティシエです。新婚旅行ではフランスを2週間巡りました。最終章に登場する、ヌーヴェル・パティスリーを牽引した「ルノートル」、出店した西武デパートには通いましたし、ガストン・ルノートル氏来日での講習会にも参加しました。食を離れてから自宅で作ることは無く、すっかり忘れてしまいました。

 書棚にはまだ専門書も何冊か残されています。開くことは全くありませんでした。1982年、5万円の本です。当時の大卒初任給が12~13万円の時代でした。

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『美麗島プリズム気候』乃南アサ 新潮文庫 2022年(2020年集英社)20240326_101817

 

 小説を主として読んでいるのですが、時としてほんわかと、旅紀行とかエッセイとかも読みたくなります。そんな時のために買って置いた本です。台湾は行ったことないけど惹かれる部分もある国です。

 そんな気持ち・期待からは少し離れた内容でした。初めて読む作家です。お気楽な旅紀行文ではなく、台湾の歴史に食い込んだかなり真面目な考察を提供しています。「日本兵として戦った本省人と、日本兵を敵として戦った外省人」の同居する国、歴史的には確かにそうなのですが、意識したことがありませんでした。親日国として知られる台湾の、新たな一面も垣間見ることができました。期待とは異なりほっこりとはなりませんでしたが、読み応えのある作品ではあります。

2024年2月 5日 (月)

最近読んだ本『ノボさん』『すべて真夜中の~』『イメージを~』

『ノボさん』伊集院 静 講談社文庫上下巻 2016年(2013年講談社)20231121_095055

 

正岡子規の半生を描いた作品。夏目漱石との交流をも書いていますが「小説 正岡子規と夏目漱石」との副題で想像するほどには漱石に重点は置かれていません。あくまで主役は子規で、その最も親しく重要な友として漱石が登場しています。題名の「ノボさん」は子規の幼名「升(のぼる)」からきています。

小説は一校時代の、ベースボールに夢中になった子規の姿から始まりその死で終わります。疾風の如くに駆け抜けた34年間でした。「打者」「走者」「四球」など、現在も使われている野球用語の多くを翻訳創作しています。(「野球」は違うらしい)

伊集院静の筆は、隠居の手慰みだった「俳句」を文学の域の高めた功績に留まらず、ひとりの明治人、「ひと」としての正岡子規を愛情込めて描いています。読後には、その距離感はかなり縮まった感があります。また、結核菌が引き起こした脊椎カリエスでの病態も克明に描かれ、壮絶な描写に後ずさりしてしまいます。

 

 

『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子 講談社文庫 2014年(2022年第43刷/2011年講談社)20231121_095247

  

川上未映子2冊目ですが、前読の芥川賞受賞作『乳と卵』より3割増しで良かったと感じています。刷数を重ねているだけのことはあります。ま、刷数は「売れた」というだけで、必ずしも作品の質と一致するわけではありませんが。

ひとと接すること、一般社会でのコミュニケーション力に不安のある主人公、出版物の誤字脱字、間違いを探す校閲者として働いています。仕事は基本的には単独行動ですが、会社に勤める以上接する社員同士の社会関係はあります。それが上手く出来ずにストレスを抱える主人公は、仕事上の知人からの紹介を切っ掛けに会社を辞め、「フリーランス」として仕事を続けることにします。買い物など必要最小限以外ではほとんど他人と接することの無い生活が始まります。

たまに繁華街に出ても、遊び方も判らずウインドウショッピングすら気楽に楽しめない。そんな主人公がひょんなことから年上の中年男性と知り合い、恋心を抱く、そんなお話しです。

私自身、主人公ほどではありませんが世間話が苦手、普通に社会生活の送れる範囲内ではありますが、コミュニケーション力は劣る部分があります。その分共感できる範囲は広いかも知れません。結末ネタバレはしませんが、現実的に納得できる、しかも部分的には安心もできる収め方になっています。芥川賞から3年後でこの安定感、最近の作品も読んでみたくなりました。

 

 

『イメージを読む』若桑みどり ちくま学芸文庫2005年(2021年第13刷-1993年筑摩書房)20231010_091532

 

若桑みどりの著作を読むのはこれが3冊目になります。千葉大学教養部での「美術史」、4日間に渡る講義を纏めて文書化したものです。美術を専門にする学生向けでない点で判り易く、それでいて美術史の原則を外さない興味深い内容となっています。

中学生時代の歴史の授業で、「ナポレオンが生まれたからこの時代になったのでは無い、この時代だからナポレオンが生まれたのだ」と習い歴史が好きになりました。同様に、美術も時代から離れることはできません。必ずある時代・ある社会・ある文化の中で生み出されます。この本はその、芸術作品の創造された背景を探る「イコノロジー(図像解釈学)」を学ぶ美術史入門書です。

この本を読んで初めて知ったこと、ルネサンス・マニエリスム等の言葉の意味です。芸術様式の初期段階をプリミティヴ、完璧な様式を完成させた時代をルネサンス、技巧が洗練されワンパターン化してくるのがマニエリスム、と表現されているのだそうです。また、著者の書く「芸術の価値のひとつは、それがどれだけ人間にとって普遍的な真実をふくんでいるか、という点にあると思います」との言葉が印象的でした。

初めて読んだ若桑みどり著作は『クアトロ・ラガッツイ』でした。信長・秀吉の時代、九州の大名がローマに送り出した「天正少年使節」を描いた小説です。くどくどと煩わしく、なんとか読み切ったものの即座にBOOK OFF 行きとなった作品です。切っ掛けが無ければ二度と読まない作家だったでしょう。切っ掛けは通信美大(現役学生です)での参考文献に著作名があったことでした。『絵画を読む』との本でした。この本で著者が小説家では無く「学者」であることを知りました。『クワトロ~』でのくどくどしさは学者故の拘りだったのでしょう。その流れで本作も読むことになりました。芸術系では、まだ読みたい本もあります。2007年に71歳で亡くなられています。51qmppeol

2023年11月14日 (火)

最近読んだ本『乳と卵』『朝鮮半島史』『~足利氏』

『乳と卵(ちちとらん)』川上未映子 文春文庫 2010年(2022年19刷 2008年文藝春秋)20231010_091546

 

 初めて読む作者、帯の「一夜にして、現代日本文学の風景を変えた芥川賞受賞作」との文言に目を惹かれました。芥川賞受賞作というのは、できれば読みたいという気持ちはあるのですが、実際にはあまり読んでいません。単行本は買わない、大部分は文庫本で読んでいます。それで「文庫化されたら読もう」と思いつつ、文庫化された頃には忘れていて読み損ないます。そのせいで余計目に付いた帯文言でした。

確かに「新しい」「今風」といった雰囲気は感じました。2008年作で15年も以前の作品ではありますが、70歳にもなると15年前などは「つい最近」にも感じますので。😅 ただ「一夜にして~変えた」というのは少々オーバーにも思います。

 言葉を交わさない、筆談で応答する母子、奇妙な関係です。ただ読み進むと、そこまでの深刻な要因の在るわけでないことが判ります。私の時代と同じ、ではありませんが、極端な違いはない親子関係、親子での情愛は残っているようで安心した部分はありました。若い時代に親に反発するのは世代を超えた常道でしょう。ただ外見として現れる姿は変わる。私の世代では、言葉は少なくなっても「筆談で」という状況は想像できません。到底許される範囲ではありません。相当に険悪です。それもあり、序盤で深刻な要因を想定してしまったのは世代格差なのかも知れません。

 新しい時代の作家との雰囲気は感じました。ただこの作品でのインパクトは強烈ではありません。軽いジャブ程度です。ただ「もう1作」と思わせる期待感はあります。帯にも紹介されている「夏物語」でも読んでみましょうか?

  

 

『朝鮮半島史』姜 在彦 角川ソフィア文庫 2021年(2006年朝日選書)20231109_100248

  

朝鮮半島の歴史をその神話時代から東学農民戦争まで、つまりは韓国併合までを書いています。随分以前に、韓国に嵌った時期に三国時代を中心に歴史を読んだことがあります。大雑把には知っているつもりでしたが、姜在彦版は更に詳しく述べています。もう新しい知識は定着しません。暗記する必要もありませんので、読み飛ばす程度での読書でした。

 朝鮮半島は、常に隣接する大国、隋や明・元・清などの中華王朝に翻弄されてきました。そして最後には大日本帝国に。生き残るためには情勢を見極め「長いものに巻かれる」処世術が必要でした。そしてまた、党派党略での陰湿な権力闘争も目立ちます。日本的感覚では「陰湿」ではありますが、戦をして大勢が死に巻き込まれた一般民衆が苦難するのと、権力中枢トップの数人が毒殺されるのと、どっちが良いと問われると悩みます。ただ朝鮮王朝末期での密室政治が近代化を遅らせた要因であったことは確かかも知れません。

  

 

『下野国が生んだ 足利氏』下野新聞社編集局著 下野新聞社 2017年(2021年第4刷)20221227_202221

  

栃木県の地元紙「下野新聞」土曜版に連載されていたものを編集して出版した本です。下野新聞は取っていないので新聞記事は知りませんでした。判り易くはありますが、足利市生まれ在住で地元歴史にも興味を持つ私には、目新しい事実はあまりありません。京都「時代まつり」での室町幕府参加が2007年からで、それまでは認められなかった、ことが新しい知識になった程度。帯にある「足利氏通」になるには少々役不足。ごく初歩の入門編といった程度の本です。

2023年10月19日 (木)

最近読んだ本『青春~』『旅だから~』『ひとたびは~』

『青春ピカソ』岡本太郎 新潮文庫 2000年(2020年14刷・1953年新潮社)20231010_091417

 

 画家・岡本太郎は「芸術は~‼」とか変人ぶってはいましたが、どうもあれは自己演出だったらしい。芸術論と言える著作も多数ある。本書は巨匠・ピカソの関して書いた本ではありますが、寧ろ岡本自身の絵画・芸術との出会い、そしてピカソにピカソの作品に相対しての自身の姿勢、芸術的変容を書き記した、エッセイであり自伝でもあるように感じました。人生に2度だけ「絵画作品の前で泣いた」それはセザンヌとピカソだったそうです。

 岡本は、ピカソを大家として奉ることを否定します。ピカソを「乗り越える」ことが芸術の未来であり自身の目標であると。しかしその実、彼のピカソに対する尊敬と敬愛の情は文章のあちこちに散見されます。ピカソの偉大さを認めながら、師として(もちろんその意識もあるでしょうが、)よりは「ライバル」として、偉大なる障壁として最大の愛情を持って敵視する、そんな関係性なのでしょう。

 本書は1953年に出版された本の文庫化です。70年前、私の生まれた年です。「昭和」イメージの強い作家ですが、実は大正生まれでした。昨年、東京都美術館での「展覧会 岡本太郎」の写真も少し載せておきます。

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『旅だから出逢えた言葉』伊集院 静 小学館文庫2017年(2021年第2刷・2013年小学館)20231010_091417

 

 伊集院静の小説はまだ読んだことがありません。『美の旅人 フランス編』文庫本三巻を読んでいます。その印象(が良くて)で買った本です。おそらく、『美の旅人』シリーズで旅した時に「出逢った言葉」も含まれているのでしょう。旅エッセイとしては悪くないと思います。ただ特に心に刻まれるエピソードがあるわけでもありませんし、「出逢えた言葉」に感銘を受けたわけでもありません。「旅だから」の言葉通り、その時その瞬間にその場所で「出逢えた」故に価値のあった言葉なのでしょう。第三者として傍観する読者には、その感慨は伝わり辛い。特に「言葉」に拘ることなく、旅エッセイとして読んで過不足ない本だと思います。

 特別な感銘は無かったけれど、未読の『美の旅人 スペイン編』を読んでみたくなりました。

  

 

『ひとたびはポプラに臥す1』宮本 輝 集英社文庫 2022年(1997年講談社)20231010_091523

 

 宮本輝の小説は未読、このの本が初めての出会いです。人気のある作家だと聞き、「シルクロード」という言葉に惹かれ手に取りました。昔読んだ井上靖の「敦煌」、佐藤浩市主演での映画もありました。太古の歴史に潜むロマンとエトランジェ的哀愁に浸る旅エッセイ、そんなものを期待して読み始めました。

 ところがドッコイ、全くもってそんな期待はたちどころに粉砕されました。グルメもエトランジェも哀切に満ちた人との出会いも、もぉな~~んもありません。旅エッセイを読んで「こんな所行きたくない!」と思ったのは初めてかも。灼熱と不衛生、文化革命的官僚腐敗、読み続けるのも辛くなるような苦行旅でした。下痢と賄賂と悪路、20年心に抱いていたという作者待望の旅なのだけれど、等の宮本輝氏はいったいどう感じたのか失望と満足と。

気楽に買ってしまって読み始めて暫くして気付きました。「1」だったのだと。全3巻あるとは知りませんでした。第1巻で距離的には半分に近い距離を進んでいます。残り2巻で2/3と言うことは、この先は更に厳しい難路がトラブルが待っているということなのか? 気が重くなって迷います。しかし旅の終わりでの作者の感慨も知りたい。ん~読むか…、少し間を置いて考えよう…。

2023年9月15日 (金)

最近読んだ本『堀辰雄~』『絵画を~』『風神雷神』

『堀辰雄 ちくま日本文学』堀辰雄 筑摩書房 2009年(2022年第4刷)20230815_084808

 

 

「ちくま日本文学」文庫版全40巻の内の1冊です。堀辰雄作品は『聖家族』『美しい村』『菜穂子』他、主要作はほとんど読んでいました。50年以上も前の高校生時代のことです。映画『風立ちぬ』を機会に数冊をその時に読み返しています。ゴルフで訪れた軽井沢、通りがかりに入ったブックカフェで目に付いた本です。街中の本屋だったら買わなかったでしょう。軽井沢で堀辰雄、というのが運命めいて思わず買ってしまいました。『風立ちぬ』以外は未読の作品だったこともあります。

デビュー作『ルウベンスの戯画』から数作は、若さ故の気負いのようなものが感じられます。ただ最初に載っている『鳥料理』は『聖家族』よりも後に書かれているし、必ずしも初期作品の特徴と言うわけでも無さそう。テーマにもよるのでしょう。やはり軽井沢情景の作品が落ち着きます。乙女チックな物語として男性ファンは少ないのかも知れませんが、何故か惹かれる部分の多い作家です。嘗ての軽井沢に対する郷愁もあるのかも知れません。軽井沢もすっかり変わってしまいましたから。『風立ちぬ』はこれで、3度目か4度目の購読になります。

 

 

 

『絵画を読む イコノロジー入門』若桑みどり ちくま学芸文庫 2022年(1993年NHK出版)20230829_103542

 

 

リタイアシニアなのですが通信系で美大生やっています。現在は洋画コースなのですが、最初の2年間は芸術学コースに所属していました。学術研究はどうも身に合わず専攻変更しました。しかしこの2年間が無駄だったとは思いません。「研究」するまでの興味はないのですが、知識として持つことは有益だと思っています。芸術学授業の最初に「感性で絵画を理解することはできません」とはっきり言われました。感性は勿論大切です。しかしそれだけではあまりに大雑把になりがちに思います。「最終的には好き嫌い」というのも間違いだと思っています。「好き嫌い」は当然あります。それを超えて理解しようとする努力無くしては、それこそ時間潰しの趣味で終わってしまいます。理解することで、好き嫌いを超えてある種の感慨に至ることもあると思います。

 「イコノロジー」は「図像解釈学」と訳されています。時代が新しくなるほどに、感性比率が高くなりイコノロジー比率が低くなります。新古典派以前、特に中世期の作品ではイコノロジー無しでは到底理解はできません。本書は、古典12作品に関して図像解釈したイコノロジー入門書です。多少の事前知識を持つ方には判り易い文章だと思います。

 コンテンポラリーアート(現代美術)ではまた別の意味で、感性だけでは理解できかねる作品も増えています。コンセプチュアルアートのように。それはまた別の話しです。

 

 

 

27冊目の原田マハ『風神雷神(上)(下)』PHP文芸文庫 2022年(2019年PHP研究所)20230914_193714

 

 

まさにぶっ飛んだ発想です。『暗幕のゲルニカ』でも「ここまで飛躍しちゃって大丈夫?」と心配しましたが、『風神~』では心配するのもあほくさい程の破綻です。もうなんでもござれ、マハさんにすべてお任せします。(笑)

俵屋宗達は国宝指定3点、《風神雷神図屛風》は知らない人も居ないほどの超有名作です。なのに「生没年不明」という謎の多い人物です。町絵師としては異例の「法橋」の位を与えられ、皇室からの作画依頼も受けたほどの絵師でありながら、光琳が私淑するまでは注目されず、その後も明治まで低い評価に甘んじていました。故に時代での資料があまり残されておらず、研究もされていませんでした。そのことが、マハさんに思い切り過ぎるほどの創意・発想の場を与えました。「史実が判らないなら何書いてもへっちゃらじゃい!」とかでしょうか。通信美大授業で《風神雷神図屏風》レポートを書いたことがありますが、遣欧使節やカラヴァッジョとの接触など、ツユほども結び付きませんでした。

 個人的には『たゆたえども沈まず』は不満でしたし失敗作と感じています。宗達と異なりゴッホは、美術史的知識の薄い方々にも幾つかのエピソードが知られるほどの有名人気画家です。それがマハ的飛躍発想を阻害したのでしょう。そのストレスはこちらで、倍々にして発散されました。ただ、坂本龍馬が司馬遼太郎の創作人物と知らずに「史実」と信じてしまっている人も多い、ので、「宗達も」とならないか少し心配。そりゃ無いか…。

2023年5月22日 (月)

「足利美術協会公募展」

地元で所属する「足利美術協会」主催の「第57回 足利美術協会公募展」、無事終了しました。2020年は中止、2021年・2022年は面倒な対策を講じた上での制限付き開催でした。ようやくの「コロナ後」(ほぼ)平常開催です。一般応募51名、会員29名35作品での展示でした。2日間で400人近いご来場を頂きました。ありがとうございます。写真最後の2点が今年の「大賞」「準大賞」受賞作です。

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私の出展作は《安房の束の間》F40号油彩画です。「安房」は秦の始皇帝が宮殿を築いた地名です。戦に敗れ連れて来られた西域小国の王女「紅毛人女性」とのイメージ画です。

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2021年末に老朽化を理由に市民会館が壊されメイン展示場が無くなりました。市の財政状態が悪く、新施設の建設は設置場所さえも決まっていません。再建まで8年前後はかかるのではないかと予想されています。来年も今年と同じ会場での開催を予定しています。会場のスペースが足りず、1階・2階に分かれての展示、導線も判り辛く1階だけ観て帰ってしまう方も居るようです。1階は元レストラン、2階は美術教室、共に展示用に作られた設備ではありません。天井が低く大作は飾れません。早期での新施設建設が待たれます。100号作品展示の見られるのは何年後になるのでしょう? 「歴史と文化の街」を名乗るのも恥ずかしい状態です。

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自身今後の作品展示は、地元では老舗最中店奥のギャラリーでのグループ展、東京六本木「国立新美術館」での「蒼騎展」を予定しています。作品はまだできていません。通信美大の課題もこなさなくてはならず、忙しい日々は続きます。今週末は東京での対面授業「鉛筆デッサン」も受講します。

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2023年4月19日 (水)

再び東京美術散歩、18日

昨日またまた東京へ。京都美大関連でのグループ展搬入でした。勿論それだけでは終わりません。折角の上京ですので朝早くから行動開始、まずは上野に行きました。20230418_111620

国立西洋美術館、「憧憬の地 ブルターニュ」、フランス・ブルターニュ地方に魅惑された画家たちの描いた作品を集めた企画展です。モネ、ゴーギャンから黒田清輝、坂本繁二郎まで。ブルターニュは、あちこち歩き廻ったわけでもありませんが、昔々の新婚旅行でレンヌ・サンマロを訪れた想い出の地でもあります。9時半開館で9時45分到着、国立美術館パートナーズ割引利用のため日時指定は取っていませんが、平日は問題ありません、コロナ5種指定と共に、日時指定予約も無くなるみたいです。
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もう1カ所、東京藝術大学美術館も立ち寄りました。「買上展」のために。現在推しのひとり、山田彩加さんの作品が展示されています。東京藝大主席卒業、すごいなぁ! なにせ、横山大観・青木繁・黒田清輝らとの同時展示ですから。
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更に歩いて上野・寛永寺で御朱印頂きました。今日の歩数はトンでもないことになっているはず。
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秋葉原乗り換えで亀戸、当初の目的の作品搬入です。指定は2時半でしたが、珍しく迷わず2時には到着しました。京都芸大通信部では芸術学コースでしたが(今季から洋画コースに変更)、何故か知り合ったのが日本画コースの方々でした。昨年・一昨年と展示会は2度拝見しましたが、今回初出品です。メンバーのお一人のお父様の営む喫茶店壁面をお借りしての展示会です。
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帰りは、亀戸駅までとそうは変わらないので、スカイツリー駅まで歩いてリバティ号で帰りました。体力は使いますが、電車で遠回りするより簡単で時間も変わらないようです。
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2023年4月17日 (月)

16日、東京美術散策

16日東京美術散策、少し歩き廻ってきました。足利市駅を7:55分発で出発、最初は六本木の「国立新美術館」での「創元展」です。開館の10時前に着いてしまったので10数分ですが待ちました。開館直後に入るのはホント久方振り。学生無料が嬉しい。特権利用です。創元会には地元からの参加が多く、その方たちの作品を中心に写真に撮らせて頂きました。足利美術協会・新画会での仲間たちです。皆それぞれ会員・準会員となっています。

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今年の「創元会賞」受賞作が素敵でした。「創元会次賞」も秀逸、全体にレベルが昨年よりも高い気がしました。
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同じ新美術館で開催中の「ルーブル美術館展」には長蛇の列ができていました。事前予約なしでの当日券での最短入場は(10時段階で)12時の回でした。人気企画展は土日は禁物です。後日平日に予定しましょう。
        

乃木坂から地下鉄乗り換えで、外苑前駅から「絵画館」に立ち寄りました。中に入るのはたぶん40数年前の学生時代以来。美大授業で「荒井寛方」を知って訪れたいとは思っていました。当時の著名画家による作品群ですが、名を知らない画家も多い。日本画と洋画に分かれ、私の知るのは、日本画は小堀 鞆音・山口 蓬春・前田 青邨・荒井寛方・堂本印象・鏑木清方など、洋画では和田英作・山下新太郎・湯浅一郎・藤島武二・和田三造あたりです。岡田三郎助が日本画で、小杉放菴が未醒名で洋画で展示されているのが興味深い。時代的に、洋画では幾分稚拙な作品もあります。和田英作はさすがですが、観難い場所に展示されてあるのが残念。入館料は500円。館内は撮影禁止でした。
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帰途、上野松坂屋に立ち寄り「第2回 絵と言葉のチカラ 入選作品展」を観ました。個人的推しのひとり「谷口朋栄」さんが「芸術新潮賞」を受賞しています。初めて観たのは、もう10年近く以前だったと思います。友人の展示会の折、同じ建物内で個展を開いていました。父と同じ愛媛県出身とのことで数言ですが会話させて頂きました。「あの時買って置けば」と後悔している一人です。40万円以上の価格が付いていました。あの頃なら数万円で買えたのに…。
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2023年2月17日 (金)

49年振りの金沢ー①

1泊2日での金沢旅行2月15日、足利市駅に車を置いて東武線で伊勢崎まで、JRに乗り換えて高崎から新幹線です。「はくたか」北陸新幹線は初体験。金沢駅到着は1時半頃、荷物も少ないのでそのままバスで「金沢21世紀美術館」へ。バスは、京都と異なりスイカ使えるのは1部バス会社のみです。
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入館券は学生割引で1,000円(シニアだと1,100円)でした。一般知名度の低いイヴ・クラインですので、空いていると思ったのですが意外と混んでいました。平日ですし事前予約の必要なほどではありませんが、土日は危ないかも? ただ、券売所で「クラインって人名?」とか聞いている人も。私の観測では、クラインが何者なのか知って観に来ている人は少数にも思えます。観光コース、ということでの観光客が多いのでしょうか? 謎です。
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館内は1部(半分弱)撮影可ですが、やや説明が判り難い。「何番と何番は~」と説明されるのですが、外表示だけなので自身が何番ルームに居るのか判りません。個々作品に×マークが無いので撮ってしまったら注意されました。撮影可の部屋には、入口外にOKマークが付いていました。しかし最初の部屋は(撮影不可なので)マーク無し。マーク付き部屋がスタートなら気付いたのに…。順路も迷路のようで判り辛かった。見逃した場所があるのかどうか判らなくて右往左往しました。
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金沢美術工芸大学卒展」も開催中でした。さすがに工芸の街、工芸系は特にレベルが高いように思えました。日本画も。
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外に出ると雪は更に激しくなっていました。傘にパラパラと音を立てる、アスファルト道路に跳ね飛ぶ乾燥した雪です。予報でスノーブーツ履いてきたのは大正解でした。その安心もあってバスで来た道を雪の中、金沢城の脇を抜け、ホテルまで歩いてしまいました。道を知るわけでなく(地図は持ってましたが雪に煙り方向はよく判りません)、1時間以上かかりましたが、疲れよりも風情が勝りました。
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ネットで「のどぐろ」売りの店を調べていたのですが、電話してみたら「満席」でした。ホテル近くのおばんざい小料理屋で、石川産の「天狗舞」飲みながら夕食。カウンター小料理屋の似合う街です。ひとり二次会はガンダム趣味のNHバーで。
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