2024年4月17日 (水)

最近読んだ本『ピカソに~』『私の家』『原田マハの~』『旅だから~』

『ピカソになれない私たち』一色さゆり 幻冬舎文庫 2022年(2020年幻冬舎)20240326_201010

 

 東京藝術大学出身の作者が、架空の芸術大学「東京美術大学」での、油画科で1番厳しいという森本ゼミで卒業製作に励む4人のゼミ生の1年間を描きます。50年以上の昔、美大進学を父親に反対され一般大学に進学しました。作品文中に「20倍もの競争率になる」と書かれている合格率、モデルとなった東京藝大油画科、私の時代では50倍に近かった。圧倒的に多い女子比率といい、時代は変わっています。 

そして古希を迎えた現在、通信美大在籍3年目を迎えています。最初の2年間は芸術学専攻でしたので、油画では1年を終了したところです。卒業製作は来年に予定しています。その意味では身に滲む部分も多い。砂利道の小石を1粒1粒描く精密描写課題などやりたくない。似たようなことはやらされるんですけど…。終盤は他人事とは思えず感極まって涙ぐみそうにもなりました。他人事として読む方々はどう感じるのだろう?  

 

『私の家』青山七恵 集英社文庫 2022年 Image_20240409_0008

 

 2007年に芥川龍之介賞を受賞した作家だそうですが、初めて読みました。どうやって選んだのか記憶にありません。「たまたま手に取った」のでしょう。そういった出会いもあります。 

親子・兄弟・大叔母、三代に渡る親族の「家」にまつわる物語です。それぞれの関係・悩み・行動、親族ならではの近しい関係でのぶつかり・イザコザ、日常的にありそうな些細での苛つき、軋轢。読んでいて少しイラつかされる部分はあります。あと、それと「家」との結び付きが、私にはピンと来ませんでした。章により主人公が入れ替わる、時代も行きつ戻りつするので戸惑う部分もありました。判るようで判らない、煮え切らない思いの残った作品でした。何かの折に、思い当たることもあるのかも知れません。そういった読書も過去にはありました。  

 

芸術新潮4月号『原田マハのポスト印象派物語』原田マハ 2024年4月新潮社Image_20240409_0007  

 

 高いので美術雑誌は大抵立ち読みですが、今号は原田マハがメイン記事を書いていたので買ってしまいました。税込み1,500円。 

「ポスト印象派物語」として、5人の画家を取り上げています。時空を超えて、エミール・ベルナールと共にそれぞれの画家を訪ねるとの設定です。今でも最も好きなマハ作品は『ジヴェルニーの食卓』です。『原田マハの印象派物語』も悪くない。そこまでは行きませんがそこそこ楽しめる文章でした。エッセイ以上小説未満。オーヴェールもポン=タヴェンも行きたいなぁ、もちろんパリも。

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『旅だから出逢えた言葉Ⅱ』伊集院静 小学館文庫(2021年・2017年小学館)Image_20240415_0002


『~Ⅰ』に続いての購読です。面白い、興味深い言葉も、何故敢えて?との言葉も混在しますが、その時々、その旅の中で心に滲みた言葉を挙げていますので、部外者読者には想像の届かない部分もあるのだと思います。『~Ⅰ』よりもしんみり読むことができました。

松井秀喜、国民栄誉賞受賞時での記事、「おそらく今後あらわれるかどうかわからないワールドシリーズMVPという栄誉~」との言葉があります。当時は想像もできなかったであろう大谷君の活躍、昨年11月に73歳で亡くなられた作者、松井に続く快挙を想像していたかも知れません。『~Ⅲ』も出ていますが買うかどうかは判りません。もうイイかな? 寧ろ『美の旅人 スペイン編』に心が動きます。

2024年3月26日 (火)

最近読んだ本『紫色の~』『お菓子で~』『美麗島~』

『紫色の場所』林 真理子 角川文庫 1986年20240315_171440

 

 バブル初期、当時「アイドル作家」とも言われて持て囃された時代の林真理子の作品です。今や日大理事長ですね。立場危うそうだけれド…。

主人公はスタイリスト、当時流行先端の職種に就く彼女が新宗教に興味を持つという、「時代だなぁ」という作品。今読むと古臭さを感じてしまいます。しかも宗教に嵌り掛けた原因が「教会で知り合った信者の男」という軽さ、林真理子らしい。オーム真理教での事件前の作品なのでこんな扱いもできたのでしょう。「久慈尊光教」というモデル丸判りの宗教団体名「おひかり」との言葉も出てくるし。クレーム付かなかったのだろうか?

 本棚から取り出した本です。若かりし頃の家内が買ったらしい。子育てに忙しかった時期にこんな本を読んでいたのかと思うとちょっと笑ってしまう。書棚には林真理子の本が数冊あります。すべて家内本、私は多分初・林真理子。 

 

『お菓子でたどるフランス史』池上俊一 岩波ジュニア新書 2013年(2021年第12刷)20240317_164037

 

 著者は西洋中世・ルネサンス史を専門とする東京大学大学院教授、『パスタでたどるイタリア史』に続く著作です。宗教や政治、素材、時代を経てのお菓子の歴史を辿ります。命を繋ぐ「食」という意味からは、必ずしも必要とは限らない「余分なもの」としてお菓子。祭事や神事から嗜好食品へとの変遷して行くには、大航海時代での砂糖やカカオの導入、そして植民地プランテーションでの大量生産化が必要でした。香辛料並みの高価品だった砂糖は、悲惨な奴隷制の犠牲の下に一般化されたのです。その中でフランスは、政略結婚によるスペイン・イタリアからの文化移入としてグルメ大国を創り上げて行きました。テーマ毎の編集で時系列を遡る部分もありやや混乱する場面もありましたが、興味深く読むことができました。

 商才無く10年前に店を閉めましたが、製菓学校卒の元パティシエです。新婚旅行ではフランスを2週間巡りました。最終章に登場する、ヌーヴェル・パティスリーを牽引した「ルノートル」、出店した西武デパートには通いましたし、ガストン・ルノートル氏来日での講習会にも参加しました。食を離れてから自宅で作ることは無く、すっかり忘れてしまいました。

 書棚にはまだ専門書も何冊か残されています。開くことは全くありませんでした。1982年、5万円の本です。当時の大卒初任給が12~13万円の時代でした。

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『美麗島プリズム気候』乃南アサ 新潮文庫 2022年(2020年集英社)20240326_101817

 

 小説を主として読んでいるのですが、時としてほんわかと、旅紀行とかエッセイとかも読みたくなります。そんな時のために買って置いた本です。台湾は行ったことないけど惹かれる部分もある国です。

 そんな気持ち・期待からは少し離れた内容でした。初めて読む作家です。お気楽な旅紀行文ではなく、台湾の歴史に食い込んだかなり真面目な考察を提供しています。「日本兵として戦った本省人と、日本兵を敵として戦った外省人」の同居する国、歴史的には確かにそうなのですが、意識したことがありませんでした。親日国として知られる台湾の、新たな一面も垣間見ることができました。期待とは異なりほっこりとはなりませんでしたが、読み応えのある作品ではあります。

2024年3月13日 (水)

最近読んだ本『源氏物語』

『源氏物語』紫式部 瀬戸内寂聴 訳 講談社文庫全10巻(2007年・2001年講談社)20221226_112245
NHK大河、最近は没入できない作品も多くなっていますが、「光る君へ」には嵌っています。今回は吉高由里子主演、というのも魅力になっています。朝ドラ「花子とアン」も好きでした。

次々回大河が発表になって間もなく、瀬戸内寂聴訳で『源氏物語』を読み始めました。講談社文庫全10巻です。購入した第1巻は2022年第33刷版、発行は6月ですが読み始めたのは22年末(11月位)でした。そして今月、ようやく読み終わりました。第10巻は2024年第13刷、かなりの脱落者が出ていると想像されます。(´;ω;`)ウッ… 大学生時代に谷崎潤一郎訳で読みましたがかなり印象が異なります。
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谷崎版は表現をボカシ、王朝文化を雰囲気持って伝えていたように思います。その点瀬戸内版は表現がリアルです。暴露本的で、勿論現代ものとは異なりますが、登場人物が肉感的に実在を感じさせます。読んでいて呆れるくらいに浮気者でちゃらんぽらんな人物が多数登場します。生活も派手で浪費家(貴族は全人口の数%で富を独占)、貴族が没落して武士の世が出現するのも「当然」と感じてしまいます。特に匂宮には呆れ果てます。単なるスケコマシですね。「君しか居ない!」とか情熱的に迫ったおきながら、浮舟が死んだと聞かされた途端に他の女人に手を出す。誠意も何もあったもんじゃない。そんな匂宮に心惹かれる浮舟、口の達者な悪っぽい男に傾く女心は現代とも共通するのでしょう。青春期その反対側に居た私は、読んでいて怒りさえ覚えます( ´艸`)  ま、誠実と表現されている薫の君も50歩100歩ではありますが…。



読んでいての小さな疑問。作中で男も女もやたら泣きます。現代的には「悲し気な目をする」程度で十分と思われる場面でも。「泣く」ことが悲しみを表現する定番で必須な態度だったのか?(泣き女感覚) それとも平安人は普通に涙脆かったのか?不思議。

訳者でこれほどに印象が異なるとは思いませんでした。大学時代の印象が正しかったのか?確かめることにしました。谷崎版は探しても第2巻しか出てきません。メルカリで買い直しました。谷崎版では宇治十帖は読んでなかったように思うし。
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ps.ラジオでたまたま、NHK大河で時代考証をされた学者さんの話を聞きました。勿論現代とは異なりますが、平安時代は一般に「平安な時代」だったそうです。大河での演出は「ドラマ的」要素も含まれています。「私の時代考証通り作ったら、面白くない物語になったでしょう」とも。また、貴族でも北の方(正妻)の他には+1人位で、物語のような浮気者は少数派だったとか。(当時の)現実を超えた創作が読者を獲得するのも今と同様です。『源氏物語』もエンタメ小説です。読んで「平安時代を理解した」とは早計のようです。

更にオマケ、大学美術部時代に『源氏物語』をテーマに作品を描いていました。谷崎版で読んでいた当時です。今見ると繋がりの判らない勝手なイメージですが、当時はそのつもりでした。( ´艸`) 
写真は左から《空蝉》《夕顔》《若紫》《朧月夜》《Lady Murasaki(紫の上)》
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今回読み始める前には「また描いてみようか」との気持ちもあったのですが、読み終わって今のところは、その気になりません。

2024年3月10日 (日)

最近読んだ本『青い小~』『孔丘』

『青い小さな葡萄』遠藤周作 講談社文庫 1980年第8刷(1973年第1刷、1956年新潮社)20240220_125335

 

 『白い人』『黄色い人』の前年に発表された初の長編小説とのこと。1950年戦後初の留学生として渡仏、その時の経験をもとに書かれたらしい。現地でのアジア人への偏見と差別、敗戦国ドイツ人に対する嫌悪、そして戦中のレジスタンス活動裏側での暗黒面、何処までが実際の話しなのかは判りません。

 本棚から取り出した44年前の本、結婚前の家内が買った本です。最近は読書量の減っている家内ですが、若い頃は読書家でした。1980年は結婚の年、式は12月でしたので結婚間近の時期に読んだのでしょう。結婚前は2年ほど、東京と宮城とで離れて暮らしていました。まだ東北新幹線の無かった時代です。本の内容よりも、当時どのような気持ちでこの本を読んでいたのか?歳月を遡る気持ちになります。

 読書傾向、重なる部分もあるのですが、やはり選択する作家・作品には違いも結構あります。遠藤周作は家内の買ったものの方が多い。吉行淳之介・水上勉は2人共に読んでいるのですがやはり家内本の方がやや多いかも知れません。源氏鶏太・林真理子・田辺聖子はすべて家内の買ったもの。反対に司馬遼太郎など歴史ものはすべて私の方です。時には本棚から、私未読の家内本を読んでみるのも良いかも。家内再発見もあるかも知れません。

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『孔丘』宮城谷昌光 文春文庫上下巻 2023年(2020年文藝春秋社)20240228_213346

  

孔子24歳、物語は母の死から始まっています。「孔丘」は孔子の本名、偉人伝では無く、放浪し苦悩したひとりの人間として描こうとの作者の意図するところが見えます。「激し易い」、時には高弟からも不安視される、そしてあまりに理想を求め過ぎる孔丘。それでいて泰然自若とした悟り切った哲人の姿ではなく、晩年には「天」にすべてを委ねた意思無き姿をも現します。

「礼」とは元々は葬儀・葬送の手順・仕来りを意味するものだったとか。「儒者」は謂わば「葬儀屋」でした。ただ、古来の型通りに葬儀を執り行うことは貴人には欠かせない重要事で、決して卑しい身分ではありません。特殊技能者、といったところでしょうか。その「礼」を、葬礼を超えて政治・外交に、そして人が生きて行く意味合いを示す「哲学」へと昇華して行きます。後世人の世に描かれる「礼」のイメージ・規範は孔丘の創り出したものでした。

孔丘の人生を描くことは想像以上に難しかったようです。著者は50代・60代で「無理だ」と諦め、70過ぎて「死ぬまで書けない」と腹を括って書き始めたそうです。『論語』には時系列が無く、残した言葉が「何時何処で発せられたか」を確定すること自体が難しいとか。著者の苦労の垣間見える作品です。

宮城谷昌光は以前(15~20年位昔?)かなり嵌った時期があります。時代もの自体読む機会が減っています。久々に読むとやはり面白いですね。少し置いてになるでしょうが、また何か読んでみたいと思っています。

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2024年2月11日 (日)

最近読んだ本『虞美人草』『82年生~』『紫式部~』

『虞美人草』夏目漱石 旺文社文庫 1968年20240207_081752

 

夏目漱石を読んだのは何年振りだろう? 一生懸命読んでいたのは中学・高校時代なので52~57年ほど昔ということになります。その後にもぽつりぽつりとは読んだと思うのですが、はっきりした記憶はありません。 

漱石が『虞美人草』を書いたのは1907年、『坊ちゃん』『草枕』と同じ年です。1905年には『吾輩は猫である』を、1908年には『三四郎』を書いています。前後作品と比べて文体がやや漢語調で装飾過剰、特に前半は漱石らしくなく古臭く感じます。前後作品の方が読み易いので、時代変遷ではないはず。何故この作品だけ文調が異なるのか判りません。解説を担当した英文学者・海老池俊治は「遺憾ながら一種の出来損ない」とまで書いています。また、教養を持ち時代の「新しい女性像」藤尾を貶め、控えめな糸子・小夜子を持ち上げる、「漱石も明治人」なのだと、尤もながら再確認することになります。ストーリーも型に嵌った堅苦しさを感じます。 

虞美人はご存じ通り楚の将軍項羽の愛姫で虞美人草はヒナゲシ、「虞美人草」と「ヒナゲシ」とでは随分と語感が異なりますね。 

中学時代の最後、高校入試前日に自宅が火事に遭っていますので、中学時代の本は1冊も残っていません。新潮・角川がメインでしたが、文豪作家のものは少し高い旺文社文庫で買っていました。旺文社文庫はハードカバーで小さいながら函入りでした。ページ末に字句解説も付いています。旺文社には「中一時代」などの時代シリーズ学習雑誌や全国模試、大学受験ラジオ講座でお世話になりました。 

 

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ 著 斎藤真理子 訳 ちくま文庫 2023年(2018年筑摩書房)20240209_102719

 

 この文庫本の出た時点だと思うのですが、韓国で136万部、日本で23万部という大ベストセラー本です。榎本マリコのシュールっぽい表紙も目立ちます。

 男優先の時代を活きたある女性の33歳から物語は始まります。ある日突然、キム・ジヨンは自身の母に、その後には大学の先輩に、憑依したかのように他人格となって話し行動し始めます。驚き戸惑った夫チョン・デヒョンは妻を精神科医に連れて行きます。そして物語は1982年に戻り、キム・ジヨンの成長過程を描き出します。 

ジェンダーの問題が、社会生活上での男女格差の問われる時代です。日本よりやや男性優先意識の強い韓国、しかしその差は明らかな場面もありますが、隔絶したほどの差はありません。私自身韓国が好きで頻繁に訪れた時期もあり(20回訪韓しています)、韓国関連の書物、歴史ものや呉善花やら黒田福美やら、一般日本人よりはかなり多く読み知識も多いと自認しています。 

そんな近くて遠い、似てまた非なる国でのジェンダー意識を、特別でなく「ごく普通な」韓国女性の30年余りを描いて、韓国で多くの共感を得た作品です。非常非常識な差別でも極端な男尊女卑でもなく、普通の社会生活上にある、少し前なら日本でも「常識内」にあった性差別を描いたことで、より身近に意識することができたのでしょう。現在70歳の私の家事・育児を「手伝う」との意識、私の世代ではそれでも「良き夫・父親」範囲内に入っていたと思っていたのですが、娘世代には否定されます。「手伝う」と言う意識自体「家事・育児は女の仕事」との前提で出てしまう言葉ですから…。男としては身につまされる部分もある作品です。 

 

 

『紫式部日記・和泉式部日記』与謝野晶子訳 角川ソフィア文庫 2023年20240131_1950342

 

 読み終わりました。さほど面白くはない。訳した本文よりも、訳者の書いた「自序」「紫式部考」が作品を作者を知る上で興味深いものとなっています。 

『紫式部日記』は「文学」というより「記録」なのだろう。日々の行事・できごとを、貴人や女房の衣装装束までこまごまと記しています。文章としての滑らかさよりも、創作の資料として残している風に感じました。それ故、当時の風俗を記録した資料として価値あるものとされているようです。 

『和泉式部日記』はそれに比べるとやや「小説」的要素もあります。「私」ではなく「和泉」と、第三者の立場として書かれています。「和泉」との主語は与謝野晶子での意訳部分も多いらしい。小説的要素もあるにしても、その要素は源氏とは比較のしようもない程狭い。師の宮と和泉式部との二人のやり取りが大部分を占めます。正直言って飽きます。やはり日記文学は『更級日記』が(読んだ中では)1番内容があるように感じています。 

瀬戸内寂聴版『源氏物語』は「巻九」まで読み終わっているのですが、「巻十」が「入荷待ち」で10日待たされ未だ連絡が入りません。NHK大河影響で売れて在庫が切れたのかも知れません。前もって買っておけば良かった。

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姿を見なくなっていた谷崎潤一郎訳『源氏物語』が、本棚整理中に「巻二」だけ出てきました。中公文庫1973年初版です。大学生時代に読み、就職時に実家に送ったのだと思います。残りも何処かにあるのか紛失したのか判りません。先の瀬戸内版入荷待ちと対照的に、少し前は古本でしか手に入らなかった与謝野晶子版・谷崎潤一郎版が買えるようになっていました。大河人気での復刻なのでしょうか?谷崎版は挿画作家が豪華です。

2024年2月10日 (土)

2024年も2月になりました。

2024年もひと月と10日が経過しました。新年早々の「足利展(足利市立美術館)」に1点出展《飲み過ぎたあの日》F30号油彩、新しい年の活動をスタートしました。美術館は外壁補修中で外見は見栄えが悪い。

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通信美大授業でも油彩を描きました。F15号を2枚、2日間で描きます。通常創作ではできませんが授業では可能、というかやらざるを得ない。強制される集中力も美大入学のメリットなのでしょう。描くテーマや規制も授業ならではです。自らの製作では、好きなモノしか描きませんしいつもの同じ描法で描いてしまいます。気が進まず無理やりやらさせるのも経験、目覚めの可能性を高める効果もあるのでしょう。ZOOM遠隔授業でしたが、自分で設営した静物を初日はキュビスム的(多視点・形体構成)に、2日目はフォービスム的(単視点・色彩構成)に描きます。キュビスムの方は色数制限もありました。

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昨年12月の授業なのですが、「静物構成」の授業での作品も載せておきます。4日間合計2単位、最初の2日間でコラージュ作品を作ります。自身の身近なモノの写真を集めることが事前課題でした。最初の3枚がその1部です。出来上がったコラージュ作品を、1週置いた後の2日間で油彩に描きます。油彩は「できるだけ正確に写す」ことがテーマです。画面を64分割してコマ毎に手描きコピーします。

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今現在展示中の作品もあります。ひとつは小さな展示会ですが公民館での文化展です。月1回開かれている裸婦デッサン会、その会場にお借りしている公民館です。もう一つは「国立新美術館」での「全日本アートサロン絵画大賞展」です。公民館での《記念日の花束》F6号は今年の、国立新美の方は昨年秋の搬入でしたので昨年の作品になります。審査を経て8日から展示されています。

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美大3年目も年度末、実技スクーリングは終了、レポート提出があと1本か2本。最初の2年間は芸術学コースでしたので洋画コース2年目が4月から始まります。展示会は4月に大学OBOG展があります。大きいのは6月の「蒼騎展」ですね。まだ構想段階ですがF50号を予定しています。

 

2024年2月 5日 (月)

最近読んだ本『ノボさん』『すべて真夜中の~』『イメージを~』

『ノボさん』伊集院 静 講談社文庫上下巻 2016年(2013年講談社)20231121_095055

 

正岡子規の半生を描いた作品。夏目漱石との交流をも書いていますが「小説 正岡子規と夏目漱石」との副題で想像するほどには漱石に重点は置かれていません。あくまで主役は子規で、その最も親しく重要な友として漱石が登場しています。題名の「ノボさん」は子規の幼名「升(のぼる)」からきています。

小説は一校時代の、ベースボールに夢中になった子規の姿から始まりその死で終わります。疾風の如くに駆け抜けた34年間でした。「打者」「走者」「四球」など、現在も使われている野球用語の多くを翻訳創作しています。(「野球」は違うらしい)

伊集院静の筆は、隠居の手慰みだった「俳句」を文学の域の高めた功績に留まらず、ひとりの明治人、「ひと」としての正岡子規を愛情込めて描いています。読後には、その距離感はかなり縮まった感があります。また、結核菌が引き起こした脊椎カリエスでの病態も克明に描かれ、壮絶な描写に後ずさりしてしまいます。

 

 

『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子 講談社文庫 2014年(2022年第43刷/2011年講談社)20231121_095247

  

川上未映子2冊目ですが、前読の芥川賞受賞作『乳と卵』より3割増しで良かったと感じています。刷数を重ねているだけのことはあります。ま、刷数は「売れた」というだけで、必ずしも作品の質と一致するわけではありませんが。

ひとと接すること、一般社会でのコミュニケーション力に不安のある主人公、出版物の誤字脱字、間違いを探す校閲者として働いています。仕事は基本的には単独行動ですが、会社に勤める以上接する社員同士の社会関係はあります。それが上手く出来ずにストレスを抱える主人公は、仕事上の知人からの紹介を切っ掛けに会社を辞め、「フリーランス」として仕事を続けることにします。買い物など必要最小限以外ではほとんど他人と接することの無い生活が始まります。

たまに繁華街に出ても、遊び方も判らずウインドウショッピングすら気楽に楽しめない。そんな主人公がひょんなことから年上の中年男性と知り合い、恋心を抱く、そんなお話しです。

私自身、主人公ほどではありませんが世間話が苦手、普通に社会生活の送れる範囲内ではありますが、コミュニケーション力は劣る部分があります。その分共感できる範囲は広いかも知れません。結末ネタバレはしませんが、現実的に納得できる、しかも部分的には安心もできる収め方になっています。芥川賞から3年後でこの安定感、最近の作品も読んでみたくなりました。

 

 

『イメージを読む』若桑みどり ちくま学芸文庫2005年(2021年第13刷-1993年筑摩書房)20231010_091532

 

若桑みどりの著作を読むのはこれが3冊目になります。千葉大学教養部での「美術史」、4日間に渡る講義を纏めて文書化したものです。美術を専門にする学生向けでない点で判り易く、それでいて美術史の原則を外さない興味深い内容となっています。

中学生時代の歴史の授業で、「ナポレオンが生まれたからこの時代になったのでは無い、この時代だからナポレオンが生まれたのだ」と習い歴史が好きになりました。同様に、美術も時代から離れることはできません。必ずある時代・ある社会・ある文化の中で生み出されます。この本はその、芸術作品の創造された背景を探る「イコノロジー(図像解釈学)」を学ぶ美術史入門書です。

この本を読んで初めて知ったこと、ルネサンス・マニエリスム等の言葉の意味です。芸術様式の初期段階をプリミティヴ、完璧な様式を完成させた時代をルネサンス、技巧が洗練されワンパターン化してくるのがマニエリスム、と表現されているのだそうです。また、著者の書く「芸術の価値のひとつは、それがどれだけ人間にとって普遍的な真実をふくんでいるか、という点にあると思います」との言葉が印象的でした。

初めて読んだ若桑みどり著作は『クアトロ・ラガッツイ』でした。信長・秀吉の時代、九州の大名がローマに送り出した「天正少年使節」を描いた小説です。くどくどと煩わしく、なんとか読み切ったものの即座にBOOK OFF 行きとなった作品です。切っ掛けが無ければ二度と読まない作家だったでしょう。切っ掛けは通信美大(現役学生です)での参考文献に著作名があったことでした。『絵画を読む』との本でした。この本で著者が小説家では無く「学者」であることを知りました。『クワトロ~』でのくどくどしさは学者故の拘りだったのでしょう。その流れで本作も読むことになりました。芸術系では、まだ読みたい本もあります。2007年に71歳で亡くなられています。51qmppeol

2024年1月 7日 (日)

2024年1月2日・3日、箱根駅伝。

2024年、明けましておめでとうございます。新年早々北陸でも羽田でも、大変な事態となってしまい「おめでとう」と言い辛い年初にはなってしまいましたけれど…。

我が家の正月は2日からの箱根駅伝で始まる風があります。私は青山学院大学出身、部活で知り合った家内も勿論青山です。ですので2日は朝からTV前に張り付いての応援です。今年は(去年もですが)駒沢大がやたら強く、出雲も全日本もやられました。事前ミーティングでは原監督から「準優勝でいい」との言葉もあったと後から聞きました。本心なのかリラックスさせる意図だったのかは判りませんが。私自身も優勝は、半分以上諦めた気持ちで「2位を目指す」覚悟は出来ていました。多くの駅伝ファンは皆同じ気分だったと思います。結果はご存じの通りですが、「駅伝はコワイ」と、勝った身(走ったわけでもないけれど、)ながらに思います。

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あとから何を言っても結果論ではありますが、1万m27分台を確か3人?擁する駒沢に対し1人も居ない青山、しかし28分台は13人もの、絶対的エースは居ないものの層の厚い青山、原監督の選手選択での采配が生きたレースだったのだと思います。1区荒巻は区間9位と言う、他区間すべてを3位以内で走った青山にあっては最も悪い区間順位ではありますが、途中まで先頭集団を走り粘った大健闘の走りだったように思います。後続選手に勢いを与え、駒沢にスタートダッシュを許さなかった効果には繋がったかと。最強駒沢にプレッシャーを与える走りでした。誰も成し得ていない「連続3冠」はやはり大きなプレッシャーだったのでしょう。追う者は強く守る者は険しい。チャレンジャーとなればフレッシュグリーンは最強です。笑顔で走ってましたし。

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私の現役4年時、1976年にも、青学は箱根駅伝に出場していました。最終ランナーがゴール手前150mで脱水症状で倒れ襷を繋ぐことができませんでした。それ以降33年間予選会での敗退を続けました。原監督での印象が強く「新鋭校」のように思われている面もありますが、上位成績は残せていなかったものの、出場常連校ではあったのです。佐藤一世はじめ好走した4年生は卒業しますが、黒田朝日・太田蒼生・若林宏樹、来年の青山も期待できます。

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2023年12月27日 (水)

ワインをテーマに描いています。

6年前に癌で胃を全摘しました。成功率6:4と言われましたが、少しだけ成功率の方が高かったせいか無事生き残っています。しかし味覚が変わり、大好きだったビールを1適も飲めなくなりました。代わりに晩酌にはワインを飲むようになっています。「命に限りがある」ことを実感したせいもあり、病床からの復帰を機会に30数年途絶えていた絵画活動を再開しました。画材にもワインを使う機会が増えています。《果物とワインのある静物画》パステルF6号2018年、《ワインとツリー》パステルF6号、2020年の作です。退院直後から描き始めましたが、昔の油彩絵の具は固まって使えず、パステル画から始めました。

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そして2022年、黄色いラベルがなんとなく気になって買ったキャンティを油彩作品に使いました。今となっては特に好みの絵柄でも無く、何処が気に入ったのか判らないのですが…。右のワインも他の作品で使っています。

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それがこの作品《黄色いラベルのワインⅠ》油彩P40号、です。人物像は新海竹太郎《ゆあみ》とマドンナとのミックスです。この時点では連作にする意図はなく、題名の《Ⅰ》は後から付け足したものです。 そして写真2枚目は同じ年に連続で描いた《黄色いラベルのワインⅡ》油彩F50号、国立新美術館での「蒼騎展」に出展して会員推挙頂きました。 3枚目は今年6月の「蒼騎展」に出した《黄色いラベルのワインⅢ》F50号です。奨励賞を頂きました。黄色いラベルのキャンティシリーズはこれでお終いになります。ワイン、飲んじゃったし。

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安ワインばかりなのですが、画材としてワインが常に20数本用意してあります。毎日晩酌で飲むのは数百円のチリワイン(値段のわりには旨い)です。グラス2杯程度ですが毎日ですので年金生活者には節約も必要。それより少しだけ高い画材用ワインは、描き終わる度に食卓に登ります。それも描く楽しみのひとつです。

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《ワインの宴》A3コラージュ・アクリル。ワインを使った別タイプの作品です。写真だと判り辛いかも知れませんが、下地全面にワインのラベルを貼って、その上に裸婦像をアクリルで描いています。同じ色を塗っても下地のラベルの紙質で発色が変わります。パステル最新作にもワインは登場しています《シーズンの始まり》パステルF6号。2シーズン開いてしまったスキーにも、今シーズンは行ってみようと思っています。

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ワイン素材の最新作は3枚連作で先月の地元の展示会に出展しました。《良い日酔い時 その1》油彩F10号、《良い日酔い時 その2》油彩F8号、《良い日酔い時 その3》油彩F8号、3枚並べて展示しました。現在この流れでの作品F30号を製作中です。1月の地元での展示会に出展予定ですが少し進展が遅れています。

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「描き終わったワインを飲む」と書きましたがまた、「飲みたいワインを描く」との考え方もあるわけで、大晦日には少し良いワインを飲みたいと思っています。現在の候補ワイン、さてどっちを先に描くか? それともシャンパンは無理としてお手軽スパークリングワインでも買ってきましょうか? 1本だけあったのを月初めの結婚記念日(43年)に開けてしまいました。今年も残り日数が僅かになっています。新しい年はどんな年になるのでしょう? 自身も世界も。

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2023年12月 4日 (月)

ラグビー観戦、母校応援。

12月2日は熊谷ラグビー場に母校の応援に行って来ました。今シーズン最終戦です。対成蹊大学、唯一勝てそうな相手です。前回観戦したのが優勝した帝京大戦で、1度も旗降る機会がありませんでした…。今回も油断禁物ではありますが、勝ちを期待して出掛けました。そして見事期待に応えてくれました。7トライでの43-7での快勝です。スクラムでは圧倒していました。身贔屓かも知れませんが互角に近いと感じた帝京大戦でのスクラム、強豪に磨かれた技なのでしょう。その意味でも帝京や明治と試合のできるAグループ、入れ替え戦での勝利の意味は大きい、何としても勝ち抜いて欲しい! 相手はBグループ2位の明治学院大、過去にはAグループ経験もある大学です。今シーズンのBグループ1位2位は接戦で、1位の日体大との力の差は小さいと思われます。もしかしたら成蹊大より難敵かも? 試合は17日に行われます。美大授業があるので行けません…。

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12/27追記、無事入れ替え戦勝利しました。来年もAグループに残ります。ホッとしています。

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