2024年2月11日 (日)

最近読んだ本『虞美人草』『82年生~』『紫式部~』

『虞美人草』夏目漱石 旺文社文庫 1968年20240207_081752

 

夏目漱石を読んだのは何年振りだろう? 一生懸命読んでいたのは中学・高校時代なので52~57年ほど昔ということになります。その後にもぽつりぽつりとは読んだと思うのですが、はっきりした記憶はありません。 

漱石が『虞美人草』を書いたのは1907年、『坊ちゃん』『草枕』と同じ年です。1905年には『吾輩は猫である』を、1908年には『三四郎』を書いています。前後作品と比べて文体がやや漢語調で装飾過剰、特に前半は漱石らしくなく古臭く感じます。前後作品の方が読み易いので、時代変遷ではないはず。何故この作品だけ文調が異なるのか判りません。解説を担当した英文学者・海老池俊治は「遺憾ながら一種の出来損ない」とまで書いています。また、教養を持ち時代の「新しい女性像」藤尾を貶め、控えめな糸子・小夜子を持ち上げる、「漱石も明治人」なのだと、尤もながら再確認することになります。ストーリーも型に嵌った堅苦しさを感じます。 

虞美人はご存じ通り楚の将軍項羽の愛姫で虞美人草はヒナゲシ、「虞美人草」と「ヒナゲシ」とでは随分と語感が異なりますね。 

中学時代の最後、高校入試前日に自宅が火事に遭っていますので、中学時代の本は1冊も残っていません。新潮・角川がメインでしたが、文豪作家のものは少し高い旺文社文庫で買っていました。旺文社文庫はハードカバーで小さいながら函入りでした。ページ末に字句解説も付いています。旺文社には「中一時代」などの時代シリーズ学習雑誌や全国模試、大学受験ラジオ講座でお世話になりました。 

 

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ 著 斎藤真理子 訳 ちくま文庫 2023年(2018年筑摩書房)20240209_102719

 

 この文庫本の出た時点だと思うのですが、韓国で136万部、日本で23万部という大ベストセラー本です。榎本マリコのシュールっぽい表紙も目立ちます。

 男優先の時代を活きたある女性の33歳から物語は始まります。ある日突然、キム・ジヨンは自身の母に、その後には大学の先輩に、憑依したかのように他人格となって話し行動し始めます。驚き戸惑った夫チョン・デヒョンは妻を精神科医に連れて行きます。そして物語は1982年に戻り、キム・ジヨンの成長過程を描き出します。 

ジェンダーの問題が、社会生活上での男女格差の問われる時代です。日本よりやや男性優先意識の強い韓国、しかしその差は明らかな場面もありますが、隔絶したほどの差はありません。私自身韓国が好きで頻繁に訪れた時期もあり(20回訪韓しています)、韓国関連の書物、歴史ものや呉善花やら黒田福美やら、一般日本人よりはかなり多く読み知識も多いと自認しています。 

そんな近くて遠い、似てまた非なる国でのジェンダー意識を、特別でなく「ごく普通な」韓国女性の30年余りを描いて、韓国で多くの共感を得た作品です。非常非常識な差別でも極端な男尊女卑でもなく、普通の社会生活上にある、少し前なら日本でも「常識内」にあった性差別を描いたことで、より身近に意識することができたのでしょう。現在70歳の私の家事・育児を「手伝う」との意識、私の世代ではそれでも「良き夫・父親」範囲内に入っていたと思っていたのですが、娘世代には否定されます。「手伝う」と言う意識自体「家事・育児は女の仕事」との前提で出てしまう言葉ですから…。男としては身につまされる部分もある作品です。 

 

 

『紫式部日記・和泉式部日記』与謝野晶子訳 角川ソフィア文庫 2023年20240131_1950342

 

 読み終わりました。さほど面白くはない。訳した本文よりも、訳者の書いた「自序」「紫式部考」が作品を作者を知る上で興味深いものとなっています。 

『紫式部日記』は「文学」というより「記録」なのだろう。日々の行事・できごとを、貴人や女房の衣装装束までこまごまと記しています。文章としての滑らかさよりも、創作の資料として残している風に感じました。それ故、当時の風俗を記録した資料として価値あるものとされているようです。 

『和泉式部日記』はそれに比べるとやや「小説」的要素もあります。「私」ではなく「和泉」と、第三者の立場として書かれています。「和泉」との主語は与謝野晶子での意訳部分も多いらしい。小説的要素もあるにしても、その要素は源氏とは比較のしようもない程狭い。師の宮と和泉式部との二人のやり取りが大部分を占めます。正直言って飽きます。やはり日記文学は『更級日記』が(読んだ中では)1番内容があるように感じています。 

瀬戸内寂聴版『源氏物語』は「巻九」まで読み終わっているのですが、「巻十」が「入荷待ち」で10日待たされ未だ連絡が入りません。NHK大河影響で売れて在庫が切れたのかも知れません。前もって買っておけば良かった。

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姿を見なくなっていた谷崎潤一郎訳『源氏物語』が、本棚整理中に「巻二」だけ出てきました。中公文庫1973年初版です。大学生時代に読み、就職時に実家に送ったのだと思います。残りも何処かにあるのか紛失したのか判りません。先の瀬戸内版入荷待ちと対照的に、少し前は古本でしか手に入らなかった与謝野晶子版・谷崎潤一郎版が買えるようになっていました。大河人気での復刻なのでしょうか?谷崎版は挿画作家が豪華です。

2023年8月12日 (土)

最近読んだ本『国境の南~』『源氏物語の~』『pray human』

『国境の南、太陽の西』村上春樹 講談社 1992年20230622_193445

 

東京に行った時に、通りがかった古本屋の店先で目に付いて買ってしまった本です。単純に題名が気に入って買いました。

 村上春樹は私の鬼門です。初めて読んだ『ダンス・ダンス・ダンス』で挫折しました。つまらなくて訳が分からなくて、苦痛で読むのを断念しました。これが「どんなに難解でもつまらなくても最後まで読む」との、自身のプライドに引っかかっています。軽いエッセイで肩慣らしと読んだ『もし僕らの言葉がウィスキーであったなら』でも、嫌みなキザが目に付いただけ。『羊をめぐる冒険』でようやく普通に読めたのですが、感動するほどではない。ややマシな凡作、程度にしか思えません。

映画『ドライブ・マイ・カー』は良かったけれど、原作と言う『女のいない男たち』を読んだら、良かったところの多くは脚本での付け足しだった。

 そして今回の『国境の~』です。読み始めは悪く感じませんでした。ミステリアスな彼女の、その背景に潜む物語を楽しみにしていたら種明かしはナシ、騙された思いです。「書き下ろし」なので、安易に書き始めて結局説得力のある謎解きが成立せず誤魔化して終わりにした、としか思えません。中途半端なライトノベル。

 本当にノーベル文学賞候補作家なのでしょうか?そう多く読んでいる訳ではありませんが、パール・バックやヘルマン・ヘッセ、ヘミングウェイ、カミュ、スタインベック、には及びもつかないし、川端康成・大江健三郎、カズオ・イシグロと比較しても、同等とは思えない。そもそもノーベル財団は候補者を発表しているわけでは無い、単にマスコミが騒いでいるだけ。もしかしたら本人も迷惑しているのかも。個人的には、単なる流行作家以上とは感じられません。やっぱり「ノルウェイの森」を読んでみないと判らないのか?

 

 

『源氏物語の女君たち』瀬戸内寂聴 文春文庫 2018年20230713_201425

 

今年の大河はもう諦めて、来年の大河を楽しみに瀬戸内版『源氏物語』を読んでいるのですが、文庫本10巻の内丁度半ばの5巻を読み終わるところです。一緒に買ったこの本、副読本のつもりで予習か復習か、結果として先走りして予習で読んでしまいました。

 昔、学生時代に読んだ源氏は谷崎版でした。実写をぼかして雰囲気で描く谷崎版に対して、瀬戸内版はかなり具体的に描写しています。副読本『源氏物語の女君たち』になると、更に生々しく男女の関りを具体化して説明します。全くもう、光るの君って嘘つきで調子良くって女たらし、歌舞伎町のホストにも負けていません。武士に権力を奪われるのも当然ですね。

 しかし他人事としては、小説としては実に面白い。時代の流行作家だったのですね。後半の流れ出来事もネタバレで(前回は宇治十条まで読んでなかった)知ってしまいましたが、知った上でも楽しみです。さ、後半も元気に読み始めます。その前に第6巻買ってこなくちゃ。

 

 

『pray human』崔実(Che Sil)講談社文庫 2022年(単行本2020年)20230812_095842

 

文庫本の帯を『コンビニ人間』の村田紗耶香が書いています。それに惹かれて買ったわけでは無いのですが、背を押す効果はあったかも知れません。ただ村田紗耶香の帯は、良くも悪くも読む人を限定してしまう危惧はありそうです。尤も、限定されても不都合ない程度に先鋭的な作品です。何しろ「精神病病棟の患者」を「患者目線で」描いた作品です。読者にある程度の「覚悟を強いる」ことを意識した帯なのかも知れません。

 何が異常で何が正常なのか、目線の違いで世界は異なって見えます。『コンビニ人間』的世界を、また全く異なる環境から描いています。人間って本当に面倒臭い生き物です。だからこそ文学が必要なのでしょう。在日三世として生まれ朝鮮学校で過ごした作者、幼い頃に性的被害を受けた過去も持っているそうです。作品中での主人公は、過去を語る機会を得ます。

芥川賞候補にもなったデビュー作『ジニのパズル』では朝鮮学校を舞台に、精神病棟も登場するそうです。機会があれば読んでみたい。因みに題名は『pray human』です。『play human』ではありません。

2021年3月13日 (土)

「NON-STOP ノンストップ」

1週間で3本目の韓国映画、「野球少女」「KCIA南山の部長たち」、そして「NON-STOP ノンストップ」韓国お得意の、軽妙コメディ。アメリカ映画もドイツ映画も観ているので、最近映画づいています。
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「ノンストップ」との題名ほどにはアップテンポではない、退屈しない程度の余裕を持ってのノンストップ、切迫感には欠けますが落ち着いてコメディを楽しめます。どんでん返しの連続ではありますが、結構安易などんでん返しでびっくりするほどの意外性は無い。合格点範囲内でのお気楽コメディです。
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私にとっては「見逃せない作品」それで連続鑑賞になりました。ポイントはひとつ、主演のオム・ジョンファです。何人か居る注目追っかけ女優のひとり、蒼井優とかコン・リーとか。出演作全部は観ていないのですが、印象に残るのは「私の小さなピアニスト」「ママ」「ダンシング・クィーン」「ミスワイフ」など。シリアス演技もできるのですが最近はコメディが多いですね。
10079_l 1203p10_3当初は歌手としてファンでした。最近聴いていないのですぐ見つかったのは8集だけでした。

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2021年3月10日 (水)

「KCIA 南山の部長たち」

韓国映画「KCIA 南山の部長たち」観てきました。久し振りのイ・ビョンホンを元ビョンホンペンの家内と一緒に。上映はやっぱり高崎の映画館、今回も行きは高速帰りは節約で一般道。
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前半は派閥抗争内部関係が複雑でついて行けず悩まされました。ま、映画自体を楽しむには漠然と大雑把に捉えているだけでも済むのですが。しかし軍事政権はやっぱり怖い・・・。事件後に成立したのもやっぱり軍事政権、全政権が光州事件を起こしました。「戦車を出せば済む」って、ホントに出したんだもんね。韓国映画お得意の”事実を基にしたフィクション”、登場人物名も少し変えてありますが、誰を指すかは一目瞭然。何処までがホントなんだろう?真実は誰も?知らない。
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ビョンホンはやっぱり上手い、あんまりカッコ良くない役も微妙なニュアンスで表現できます。2019年作品ですが「白頭山(ペクトゥサン)」も今年中に日本公開があるとか聞きました。地方上映があるかどうかが問題ですが。
因みに元ビョンホンペンの家内、現在のブームは宮本浩次。
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2021年2月10日 (水)

「ある画家の数奇な運命」「詩人の恋」


高崎の名画座系の映画館に行って来ました。久し振りの1日2本、1本目が189分の長編だったせいもあり、さすがに疲れた。コロナ対策で事前予約の定員制限ですが、田舎の映画館が平日に満席になるはずもなく、直前に電話して入りました。1本目15名程度、2本目は10人少々。これでも最近では多い方です。
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「ある画家の数奇な運命」ドイツ映画。モデルになったゲルハルト・リヒターに関しては知らなかったのですが、”数奇な運命”に興味を持ちました。聞いてみると”数奇”どころじゃない!事実でなければ、嘘くさい出来過ぎた話しと打ち捨てられそう。しかし189分はさすがに長過ぎます。ナチスの「退廃芸術展」に批判的な叔母が、ヒトラー?と思われる人物に花束を渡し高揚する、意味不明なシーン、説明不足のまま挙げるなら不必要かと。「芸術と政治(共産圏の社会主義リアリズムを含む)」、ナチスの「安楽死」政策、という重厚なテーマに若い芸術(志望)家の恋と製作の葛藤、成功への道筋、と欲張り過ぎた故でしょう。2時間~2時間半程度に纏められれば良い作品になったかも知れません。ちょっとイジイジしました。
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反面、美術好きにとっては興味津々の場面も多く楽しめます。学内展(ルンドガング)の模様も出てきますし、ヨーゼフ・ボイスをモデルとした教授や、釘打ってたのはギュンター・ユッカー?後代ではナム・ジュン・パイクや奈良美智もデュッセルドルフ芸術アカデミーの出身ですね。ただ「絵画は死んだ」とか、100年以上前の具象絵画人気の高い日本では意味の判りかねる方も多いかも? 映画には関係ないし英国人だけど、同じく死んだはずの具象絵画を蘇らせた昨秋の「ピーター・ドイグ展」は良かった、とか思い出しました。

                 




と言うわけで昼食外出後の2本目は韓国映画「詩人の恋」、「息もできない」のヤン・イクチュンが全く異なる役柄で主演。監督もできるヤン・イクチュン、自らメガホン取れば良かったのに。長編初挑戦監督では荷が重かったのかも。韓国映画でこれほど退屈だった作品も珍しい。しっとりした奥深いテーマのはずが、切なくも悲しくも思い深くもない。テーマは分かるが画面で表現されていません。2度訪れて「3度目もあり」と思っている済州風景、実はこれが1番の期待だったのですが、それも十分に描かれたとは思えません。済州はもっと素敵。189分の映画を長く感じるのは普通、でも110分でも長く感じた。
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済州島に旅した時の写真、映画より美しい?
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上映中、何かの倒れるような破裂するような、かなり大きな音の雑音が度々響きました。原因不明とかでお詫びがあり、次回使える招待券が配られました。雑音が邪魔になるような魅せられる作品でもなく、ま、ならいいか、と言った感じ。次は↓観に行きます、いずれも韓国映画。
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2021年1月24日 (日)

「新感染半島 ファイナルステージ」

今年2本目の映画はゾンビもの。ホラーは絶対観ないしゾンビものも観ない。今回観てしまった目的はただひとつ、イ・ジョンヒョンです。783_1200x675

 

1996年の初訪韓以来韓国に嵌り、2000年からは「韓流」前のK-POPに嵌りました。始まりは「DIVA」のチェ・リナ、熱唱型のキム・ヒョンジョン、”テクノの女王”イ・ジョンヒョンでした。イ・ジョンヒョンはソウルのディスコで聴いた「パックォ」が印象的で、韓国友人に曲名を聞いて、後にCDを買いました。ドラマ「美しき日々」を見るようになったのも、イ・ジョンヒョン出演と聞いたからでした。東京国際フォーラムでの「美しき日々コンサート」も、今は無きSIBUYA-AXでの日本ファーストライブにも行きました。全く活動の無かった日本FCにも加入していましたし、日本語字幕の入っていない映画「花びら(大鐘賞・青龍映画祭新人女優賞)」ビデオも持っています。

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韓流の波に乗って、日本での歌手デビュー直後に紅白にも出演しました。しかしあくまでも「美しき日々」のセナとの立場での話題で、イ・ビョンホン、チェ・ジウの添え物的な扱いで、韓国でのような”歌手”としての活躍はできませんでした。反日的な心情も多少持っていたようなので、日本に馴染み難かった点もあったかも知れません。

肝心の映画の方ですが、やはりゾンビものは苦手です。アクションエンターテイメントとしても、「助けに行くならさっさと行けよ!」と言いたくなる部分、差し迫るゾンビを前にして再会の抱擁を続ける(ほら、そんなことしてる場合じゃないだろ~)とか、少し苛つかせます。情感に訴えようとの意図が空々しく感じてしまう部分も。アクション自体は迫力ある出来ですので、もっとテンポ良くエンタメに徹しても良かったかと。40歳になったイ・ジョンヒョンはそれなりに清楚なまま美しく歳取ってました。女優として頑張って欲しい。ゾンビ・ホラー以外で。

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※12月には短期間に6本もの映画を観たのですが、ブログにアップしていなかったことに気付きました。今更ですので題名だけ、「エヴァンゲリオン序」「エヴァンゲリオン破」「エヴァンゲリオンQ」「鬼滅の刃」「ワンダーウーマン1984」「新説三国志」でした。

2021年1月21日 (木)

2021年初ゴルフ、初映画

大晦日以来、2021年初ラウンドでした。佐野市の唐沢ゴルフ倶楽部唐沢コース、南面が多く暖かいので冬場に人気のコースです。今日も、朝方は冷えてましたが凍るほどでは無く、ティーも刺さりました。午後は小春日和。癖のある高麗グリーンも、夏場に比べると滑りもややマシ。それでも、距離は無いのですが隠れた罠の多いコースです、油断できません。Img_20210121_093452

19人のコンペでしたが、表彰式も世間を気遣う時世ですので、ハーフコンペにして会食無しの自由解散でした。OUTでの前半ハーフは2ホール目でロングパットを入れて2021年初バーディ!7ホール目まで+8の好成績。しかし好事魔多し、第8ホールショートで入れたバンカーで5打叩き+5、最終も+3で50も切れず「52」と崩れました。それでもナ、なんと、新ペリハンデが15.6も付いてネット36.4で”優勝”してしまいました!グロスでは下から2番目なのに(笑) ツキも実力の内? 因みにコンペ成績に関係ない後半も「52」で平和でした。唐沢コースでの平均が108.8ですので、それでも良い方です。親戚に頂いた唐沢ゴルフ倶楽部優待券が大量に余ってます(有効期限3月末)ので、来月にも唐沢コース、再来月には三好コースで予定を入れてしまいました。

プレー後に近くの唐沢神社に立ち寄りました。元々は唐沢山城、起源は藤原秀郷と伝えられます。戦国時代は佐野氏の居城として上杉謙信をも退けた関東七名城のひとつです。江戸時代の山城禁止令により廃城となりました。神社となった今でも、往時を偲ぶ城壁はそのまま残されています。御朱印も頂いてきました。

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初映画は宇都宮遠征、地元には来ないマイナー映画です。2019年韓国映画、コロナで2020年6月の公開予定が遅れました。「長沙里 9.15」朝鮮戦争でのある戦闘を描いた作品です。料金はシニアで1,200円でしたが、駐車場代と高速代を含めるとえらく高い映画鑑賞です。

中国軍の支援を受けた北朝鮮人民軍は韓国軍を圧倒、韓国軍・国連軍は戦線を後退して戦力を集中、釜山・大邱・馬山を含む釜山橋頭保死守に戦略変更します。半島の大部分を失った韓国・国連軍、起死回生の仁川上陸作戦から目を逸らすための遊撃作戦が長沙里海岸(長沙洞)上陸作戦です。しかし作戦に回す余力は無く、訓練・経験共に不十分な平均年齢17歳の学徒部隊を派遣、実質的な”捨て石”とされた学徒部隊の悲劇を描いた作品です。

映画作品としてはドラマチックで迫力もあり、秀逸とまでは言えないまでもそこそこの出来です。しかしこの手の「史実を基としたフィクション」韓国映画には注意も必要です。もちろん日本でも欧米作品でも、映画としての脚色や誇張は”表現”として付きものです。それでも韓国映画の場合、得てしてそのフィクション度が過ぎて、ほぼ全くの創作に陥る危うさがあります。史実を無視してエンタメ化して「フィクション」と言い逃れるケースは度々見られます。184917_01-2

終盤の米国女性記者が国家利益の為に「真実の報道」を阻害されるシーン、確かに権力によって秘匿されている部分はあるかも知れません。本当のところは判りませんが、残されている”史実”では、長沙里に派遣されたのは密陽にてゲリラ討伐を任務としていた密陽大隊で、全滅の危険があり撤収、「725名が救出された」とあります。何人の部隊が派遣されたのかは判りませんが、一般に「大隊」は500~600名程度(国・時期により異なる)です。映画では「772人の学生兵」となっています。密陽大隊に1部学生兵の含まれていたことは事実のようですが、事実を大きく誇張してエンタメ化した可能性は高いかも知れません。

2020年11月 9日 (月)

最近読んだ本「透明人間~」「紙の~」「法廷~」

「透明人間は204号室の夢を見る」奥田亜希子 集英社文庫Photo_20201109160002

 

社会適合性の薄いひとを主人公にした作品は結構多く見ます。これもそのひとつですが、どうも私にはピンときません。小川洋子の「ことり」のような真摯な誠実さは感じられませんし、「コンビニ人間」までの現代性も足りなく思えます。こういった人物は居るかも知れない、でもだから何だと言うのか、その先に何を言いたいのかがはっきり掴めません。高校生で小説家デビューした女性が2作目を書けない、ふとした切っ掛けでストーカー的に追いかけた青年との妄想、そして現実での繋がりを得て再び筆を執る。成り行きで知り合った他人を創作復帰の手掛かりとした、それだけの小説に思えます。文庫本帯に「「普通」が難しい女性の、イタくて切ない物語」とあります。イタイかも知れませんが、切なさは感じませんでした。

作者は第39回すばる文学賞を受賞しています。同じように2作目の執筆で苦労されたのでしょう。たまたま読んだ作品が凡作だった故に、却って受賞作に興味が湧きます。

 

「紙の動物園」ケン・リュウ著 古沢嘉道編・訳 ハヤカワ文庫Photo_20201109160003

「ケン・リュウ短編傑作集①」となっていますから②もあるのでしょうね。本屋でたまたま目に付いて買いました。初めてで名も知らなかった作家です。

表題「紙の動物園」には惹きこまれました。全く悲し過ぎる物語です。しかし”泣きたい時”に選ぶ作品ではありません。よく「泣ける」との評の作品がありますが、技巧的作為的な泣かせる意図が込められていそうで避けてしまいます。こちらの作品では泣きたくないのに泣かせられてしまう、「止めてくれ!泣かせるなよ」という、不本意な泣かせられ方です。ですので気持ち良い涙ではありません。辛い涙です。過去に立ち戻って涙の訳を解消したくなる物語です。しかし戻れない、辛さ・・・。ヒューゴー賞/ネピュラ賞/世界幻想文学大賞での史上初3冠作品だそうです。

他に「月へ」「結縄」「太平洋横断海底トンネル小史」「心知五行」「愛のアルゴリズム」「文字占い師」が収録されています。最初に読んだ表題作が強烈で後は薄味に感じました。「愛のアルゴリズム」はテーマに面白みを感じました。最後の「文字占い師」では「紙の~」に次ぐ真剣さがあります。終盤に結末が予想され、読み続けるのを一瞬躊躇いました。

 

「法廷通訳人」丁海玉(チョンヘオク) 角川文庫Photo_20201109160101

最初は多分新聞の書評で見たのだと、ちょっと興味を惹かれたのですが本屋で探す・注文するまでの気持ちはありませんでした。それが他の書籍を買いに出た時にたまたま目に付き、「これも出逢い」としてのついで買い、です。

「興味」は、ほとんど授業にも出ないボンクラ学生でしたが大学での専攻は一応法学でしたし、韓国好き(訪韓20回)でもありますので、自然と目に付きます。あまり読まないノンフィクション部門。

私の娘は”翻訳”を職業としています。英語がペラペラか?というと本人は「そんなことない」と言います。しかし東京外語英語科出ですので、より高レベルな話者を知っているが故の(謙遜ではない)言葉なのだと思っています。そして娘の翻訳する文献、今現在の詳しい話は知りませんが、少し前は米国大手製薬会社の書類でした。輸出入書類や薬品成分・用法等。一般文章や小説等とは異なる専門用語が必要となります。

「法廷通訳人」を読みながらそんな娘を思いました。法廷通訳でも同様に、法律専門用語が必要です。しかし通訳人は専門家ではありません。娘が医師・薬剤師では無いように。そんな中で、一語のニュアンスの伝え方次第で、被告の人生に影響を与えかねない、として緊張し悩む著者の姿が克明に語られた作品でした。中々想像の付かない、大多数の人々には非日常の世界である法廷、嘗て法学部に身を置きながら1度も傍聴に訪れたことはありませんでした。「この機会に」と、近くの裁判所の公判日程を調べたりしています。

2020年11月 5日 (木)

「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」

昨日は県都宇都宮へ。名画座的な「ヒカリ座」で久し振りの韓国映画、久し振りのイ・ヨンエです。49歳になっていました。スクリーン登場は14年振りだそうです。映画は「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」、行方不明の息子を探す母親の物語です。韓国映画らしい、目の離せない激しい描写が続きます。このテーマでの作品は過去にも観ました。実際に韓国ではこの手の誘拐・行方不明事件が多いのでしょうか?中国映画ですが「最愛の子」も同テーマでした。
日本では「チャングム(大長今・宮廷女官チャングムの誓い)」で有名になったイ・ヨンエ、家内と2人、済州島でのロケ地巡りもしたこともあります。民俗村博物館やヴェドルゲなど。済州島には2度行きましたが景色の綺麗な場所でした。海のものも美味しいですし、もう1度は行きたい場所です。
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韓国映画好きでしたので、「チャングム」以前からイ・ヨンエもちろん知っていました。初めて観たのはイ・ビョンホンとの共演「JSA」でした。ソン・ガンホなど男優4人が充実していましたので、イ・ヨンエの影は薄かったですね。映画出演作は意外に少なく、デビュー作「インシャラ」始め「ラスト・プレゼント」「春の日は過ぎゆく」「親切なクムジャさん」すべて観ています。
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最初に「久し振りの韓国映画」と書いてしまいましたが、前回観た映画も韓国映画「マルモイ」でした。印象薄かったようです。

2020年10月 7日 (水)

映画「マルモイ」と栃木県芸術祭で宇都宮へ

昨日は宇都宮、主目的は出品中の栃木県芸術祭ですが、その前に映画館にも行きました。宇都宮ヒカリ座で上映中の「マルモイ」、韓国映画です。韓国映画も久し振り、「パラサイト」以来です。
コロナ対策で席はひとつ置き、家内と一緒ですが隣り合いません。(笑) 映画は日本支配時、創氏改名や日本語教育の強制等で文化支配も進める帝国日本に対して、自国の文化・誇りを守るべく「朝鮮語大辞典」作りに命を懸ける人々の物語です。主演は韓国映画では(主に助演で)お馴染みのユ・ヘジンとユン・ゲサンという知らない俳優。少し悠長な始まりから、途中から目が離せなくなる展開、そして最後は少し明るい結末。「タクシー運転手」で脚本を手掛けたオム・ユナ初監督作品です。政治色脚本が得意のよう。感動的なストーリーですが、「事実を基にしたフィクション」と但し書きがあります。これのある時は、内容には誇張・脚色のある場合が多い。統制、厳しい取り締まりのあったことは事実でしょうが、要人暗殺テロもあった時代、失礼ながらただの辞書作りに、武装警官を大量に動員して取り締まる余裕が警察にあったかどうか少し疑問に感じます。韓国映画の場合、事実を正しく伝えようとの姿勢を超えて、ドラマチックに脚色・演出する傾向があります。映画の出来とは別に、冷静に観る必要はあると思います。
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栃木県立美術館へ移動、まずは館内レストランで昼食を取り、その後で「第74回栃木県芸術祭美術展」を巡りました。入館料260円ですが私は出品者で無料、送られてきた招待券で家内も無料。
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絵画趣味を再開して3年半、今年は初出品で入選させて頂きました。作品は昨年の恵比寿での四人展に出したF50号ですが、背景の植物等、書き足し・書き直ししてあります。自身としては「良くなった」と感じてはいますが、当初の構想から考えるとまだ完成形ではありません。当初の構想では、背景一面にエアプランツを中心とした植物がびっしりと隙間なく描かれているはずでした。現在の状態にプラスして、画面上や右端にあるような、緑色に埋まってやや不鮮明な状態での描き方で。四人展での段階ではそこまで間に合わず、取り敢えずの段階で出品しました。それでもそこそこ満足できる出来だったはずです。Dsc04789

今回の県芸術祭出品に当たって、当初の構想通り完成させることを目標に書き足しを始めました。しかし思うように作業は進みません。印象強い足元の3個のエアプランツとその右の従来からある同系統色のエアプランツの描き直しは、悪い出来ではないと思っています。しかしその他大勢としての埋め込みエアプランツ作業に気が乗りません。正直言って書き直し段階で、当初の新鮮なイメージは失われていました。当初構想に対する自身の意欲・関心が薄れていたのです。つまりはもう「古臭く」感じてしまっています。当初イメージで完成させる意義が感じられませんでした。
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しかしそれは否定的状態ではありません。寧ろ肯定的で望ましい状態なのだと思います。次々に新しい構想が湧いてきています。昨年「蒼騎展」に出したP40号はもう他人に観せるのが恥ずかしく思うようになっていますし、この「楽園のパティオ」も過去の存在、古く感じるようになっています。学生時代にもそうそうなかった位に、この歳になっての絵画での自身の成長を感じています。それもかなり急な。
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「新画展」に出した「蒼茫のパティオ」の方が斬新ですし、今製作中のP40号は更に意欲作となっています。今月下旬、24日・25日の「足利市民文化祭」出品予定ですが、学生時代を含めて、1番の自身の代表作だと、今は思えます。そしてその半年後にはそれも「古臭く」思える、それが理想形なのでしょう。10日には「批評会」があり、今度はひとりで出かけます。審査員からどのような評価が与えられるのか、心配でも楽しみでもあります。

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